熾烈な戦い!永瀬九段 vs 藤井王将の将棋対決
熾烈な戦いの幕開け:永瀬九段と藤井王将の策略
永瀬九段は先手番から「相掛かり」を選択し、藤井王将に対して巧妙な指し回しを展開しました。この戦型は、過去25局では12局ぶり5回目という珍しいもので、永瀬九段はこの戦法を長く温めていたようです。27手目の▲1五歩で意表を突く端攻めを開始し、藤井王将の想定範囲を外すことに成功しました。これにより、藤井王将は守備に回ることを余儀なくされました。
盤面のそばには、永瀬九段の戦略を支えるためのブドウ糖補給用のinゼリーがずらりと並び、掛川名物の紅ほっぺ&キウイフルーツの濃厚フレッシュジュースを前夜からこの日夜にかけて10杯も飲んで戦いに臨みました。昼食にはチーズイン煮込みハンバーグやサラダ、ケーキをしっかりと摂取し、旺盛な食欲で対局に備えたのです。
一方、藤井王将は、永瀬九段の攻撃に対して「壁金」という悪形を選択することになりました。将棋の格言で避けるべきとされるこの形を強いられた藤井王将ですが、彼の高い戦術力は、ここからの反撃の機会を探ることにあります。36手目の△2二金は、永瀬九段の▲1四歩、▲1三歩に対し、苦しい状況からの辛抱を示すものでした。さらに、46手目の△2四歩は藤井王将が反撃の糸口を見出すための重要な一手で、最長1時間3分の長考がそれを物語っています。
藤井王将の「勝負めし」として、昼食には四川風の「回鍋肉」を注文しました。地元産の食材を活かしたこの一品は、ピリッとした辛さが特徴です。また、午前のおやつには地元の砂糖を使った「よこすかしろ羊羹」を選び、午後には「深蒸し茶のバスクチーズケーキ」と「アイスティー」を楽しみました。食事選びにも藤井王将のこだわりが見て取れます。
この対局は、永瀬九段が過去の経験を生かし、先手番での優位を保ちつつの展開となっています。過去のタイトル戦での敗北を乗り越え、最終盤のミスを防ぐことを目標に掲げる永瀬九段にとって、今回の戦いは重要なステップとなることでしょう。
将棋ファンにとって、掛川城二の丸茶室の対局は、ただの戦い以上のものでした。対局を記念した御城印も販売され、県内外から訪れたファンがその熱意を見せています。将棋界を代表する二人の棋士によるこの対局は、掛川市を舞台に新たな歴史を刻む一日となりました。これからの対局も、目が離せない展開が続くことでしょう。
[山本 菜々子]