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2025年01月14日 10時11分

加藤登紀子さんの「さかさ思考」—逆転の発想で生きるヒント

加藤登紀子さんの「さかさ思考」—波乱万丈な人生が教える逆転の発想

加藤登紀子さんは、彼女の人生経験を通じて「さかさ思考」という独自の人生訓を提唱しています。彼女は、戦後の引き揚げ体験や東京大学在学中に20歳で歌手デビューしたこと、さらに学生運動のリーダーとの獄中結婚など、実にさまざまな経験を経てきました。このような経験が、彼女の発想にどのように影響を与えたのか、そしてその考え方が現代にどのように役立つのかを探ってみましょう。

逆転の発想が生む新しい視点

加藤さんが提唱する「さかさ思考」とは、常識をひっくり返して新しい視点で物事を捉えなおすことを指します。まるで砂時計を逆さにすることで、止まっていた砂が勢いよく流れ出すように、物事を好転させる感覚と彼女は述べます。この考え方は、彼女自身の人生における数々の試練を乗り越えるための強力なツールとなりました。

その一例が、彼女が47歳で乳がんを患った際の経験です。加藤さんはその時、歌手としての「先」を見つめ直し、ボイストレーニングを始めたのは50歳からでした。もしも歌手でなくなったら何をしたいか、と自問し、書や陶芸も始めたといいます。これは「らしく生きない」というヒントの実践でもあり、世間が求める「らしさ」にとらわれない生き方を選ぶことの重要性を示しています。

「元気よく笑顔で」のSOS

加藤さんの逆さなヒントの中には、「SOSを出すときは、元気よく笑顔で」というものがあります。彼女は東北や能登の被災地で出会った人々との交流を通じて、悲しそうなSOSには人々が寄ってこないことを実感したといいます。特に、元気を奮い立たせることが、困難を乗り越えるための鍵であることを経験から学びました。

このような考え方は、自己表現や他者とのコミュニケーションにおいて、ポジティブな影響を与える可能性があります。元気であることが人を引き寄せ、周囲のサポートを得やすくするのです。

年齢にとらわれない人生の楽しみ方

加藤さんは80歳を迎えた2023年に「美しき20歳」という詩集を出版し、「80歳は20歳なの、私の暦では」と語っています。81歳になったら18歳、91歳まで生きられたら19歳になるという彼女の発想は、年齢に縛られずに自分の人生を楽しむことの大切さを強調しています。これは、人生100年時代と呼ばれる現代において、多くの人々にとって励みとなる考え方です。

加藤さんの周囲には、自分の物差しを持ち、自分の幸せを自分で決めて人生を謳歌している人が多くいるといいます。たとえば、90代でも活躍する俳優の草笛光子さんや岸恵子さん、99歳で亡くなるまで現役作家として活動した瀬戸内寂聴さんなどがその例です。彼らのように、年齢にとらわれないで生きることは、自己実現の一つの形であるといえるでしょう。

加藤登紀子さんと和田アキ子さんの友情

加藤さんの人生は、他のアーティストとの交流にも彩られています。和田アキ子さんとの親交はその一例です。和田さんは、加藤さんについて「東大出た歌手と不良のコラボ」と冗談交じりに語り、二人の間に、長年にわたる深い友情が育まれていることを明かしています。和田さんがデビュー20周年の際には、加藤さんが「今あなたにうたいたい」という曲を提供するなど、その関係は公私にわたるものでした。

この友情は、音楽という共通の情熱を通じて築かれたものであり、異なる背景を持つ二人が出会い、互いに影響を与え合った例として興味深いものです。彼らの交流は、異なる道を歩む人々がどのようにして絆を築くことができるのかを示しています。

加藤登紀子さんの「さかさ思考」は、彼女自身の人生を振り返る中で生まれたものであり、現代の多くの人々にとっても有益な視点となるでしょう。彼女の経験から学ぶことは、困難を乗り越えるための糧となるのはもちろん、新しい視点を得るためのヒントにもなります。これからも彼女の音楽やメッセージが、多くの人々に影響を与え続けることは間違いありません。

[田中 誠]

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