エンタメ
2024年11月29日 06時33分

森且行の挑戦と絆:オートレーサーとしての不屈の物語

森且行:不屈のオートレーサーが描くドラマティックな軌跡

森且行は、1990年代の日本を代表するアイドルグループSMAPの元メンバーとして、多くの人々にその名を知られる。彼は、22歳の時に幼少期からの夢であったオートレーサーへの転身を果たした。この決断は、当時の彼にとって大きな挑戦であり、芸能界を飛び出して新たな世界に飛び込む勇気を示したものだった。その後、彼の人生はオートレースに捧げられ、数々の栄光と挫折を経験してきた。ドキュメンタリー映画『オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版』は、そんな彼の24年にわたるレーサー人生を余すところなく描いている。

森のレーサーとしての道は決して平坦ではなかった。彼は2020年にSG日本選手権で初優勝を果たし、日本一の座を手にした。しかし、わずか82日後、レース中に落車し、生命を脅かすほどの重傷を負う。この事故は、彼の選手生命を危ぶむものであったが、森はその後も不屈の精神でリハビリに励み、再びレースに復帰するという強い意志を見せた。

オートレーサーへの情熱とSMAPからの影響

森がオートレーサーへの道を選んだ背景には、幼少期の憧れがあった。父親に連れられて訪れたオートレース場で見たレースは、彼にとってまるでヒーローのように映った。これが彼の心に深く刻まれ、その情熱は大人になっても消えることはなかった。しかしながら、彼がオートレーサーになるまでの道のりは決して簡単ではなかった。中学卒業時に受けたオートレーサーの試験には身長制限があり、彼はその時点での挑戦を諦めざるを得なかった。しかし、SMAPのメンバーとしての活動を経て、再びオートレーサーへの道が開かれた時、彼は迷わずそのチャンスを掴んだ。

SMAPのメンバーとの絆は、森にとって大きな力となった。彼らは森の決断を支え、彼が頭を丸刈りにする断髪式を行って送り出した。この時、彼らはお互いに「日本一になろう」と誓い合ったという。この約束が、彼が日本選手権で優勝を果たした際に彼の胸に強く響いた。また、事故からの復帰に際しても、元メンバーたちからの励ましの言葉は彼の大きな支えとなった。特に中居正広からの「神様は乗り越えられないヤツには試練を与えない」という言葉は、森にとって特別な意味を持った。

挑戦を支える「整備の鬼」としての顔

森は「整備の鬼」としても知られ、自らの競走車をメンテナンスする姿勢に強いこだわりを持っている。YouTubeで公開された映像では、彼がエンジンを解体し、タイヤの溝を削る様子が映し出されている。これは、彼がオートレースという競技に対してどれほどの情熱を持っているかを如実に示している。単にレースに出るだけでなく、マシンの整備から自ら手がけることで、彼はレースそのものをより深く理解し、愛しているのだ。

このように彼が競技に対して真摯に向き合う姿勢は、オートレースファンの中でも次第に評価されていく。デビュー当初は、芸能界からの転身を快く思わないファンから心ないヤジも飛ばされたが、彼はそのような声を逆に自身の糧として努力を続けた。結果として、新人王や25期のチャンピオンになることで、彼はオートレース界でも一目置かれる存在となった。

まとめ

森且行のオートレーサーとしての人生は、挑戦と情熱、そして仲間たちとの絆に支えられたものである。彼が選んだ道は決して容易なものではなかったが、彼の不屈の精神とオートレースへの愛情が、それを乗り越える力を与えてくれた。映画『オートレーサー森且行 約束のオーバル 劇場版』は、そんな彼の姿を通して、観る者に勇気と感動を与える作品となっている。森はこれからも、彼の夢である「もう一度日本一の舞台に立つ」ことを目指して突き進むだろう。彼のストーリーは、これからも多くの人々にとって、心の支えとなるに違いない。

[佐藤 健一]