「Page30」が描く女優たちの挑戦と心理戦
映画「Page30」が描く女優たちの葛藤と挑戦
舞台裏で繰り広げられる心理戦
「Page30」のストーリーは、演出家や監督不在の中、4人の女優が終わりの見えない戯曲に挑むというものです。唐田えりか、林田麻里、広山詩葉、MAAKIII(元HIGH and MIGHTY COLOR)という個性豊かな女優たちが出演しています。彼女たちは、舞台本番までの限られた時間の中で、互いに疑心暗鬼になりつつも、役に没頭していく姿を見せます。
この設定は、俳優が日常的に直面するプレッシャーや不安、そして自己表現の難しさをリアルに描き出しています。特に、演出家や監督がいない中での即興的な演技は、女優たちにとって大きなチャレンジであり、彼女たちの演技力が試される場面でもあります。
クリエイター陣のこだわり
映画の音楽は中村正人と世界的なジャズピアニストである上原ひろみが担当しています。上原は東京オリンピック開会式にも出演しており、その音楽センスが映画全体の雰囲気を一層引き立てています。さらに、脚本は堤幸彦と劇団マカリスターの井上テテが手がけ、劇中劇の台本は山田佳奈が担当しています。このように、多彩なクリエイターたちが集結し、映画の質を高めています。
異例のシアター設立とその意義
「Page30」の公開に合わせて、渋谷に新たに「渋谷 ドリカム シアター」がオープンします。このプロジェクトは、1つの映画のためにシアターを新設するという前代未聞の試みであり、アートやカルチャーを発信する場としての役割を担っています。渋谷は、DREAMS COME TRUEにとって縁の深い場所であり、このシアターが新たな文化の発信地となることが期待されています。
シアターの設立には、DREAMS COME TRUEが全面協力しており、シアター名には「夢が叶う」という願いが込められています。この場所が、多くのクリエイターたちに新たなチャンスを提供し、彼らの夢が叶う場となることが期待されています。
女優たちの声
主演の唐田えりかは、自身の役柄について「無愛想で、いじめっ子のような悪役」と語り、堤幸彦監督の演出を「刺激的で的確」と評価しています。彼女は、この作品に参加できたことを「幸せ」と感じており、最後のシーンへの感情の昂ぶりが自分の想像を超えたものであったと振り返っています。
また、林田麻里は「宇賀遥」として、役を生きることの怖さと責任を感じつつも、自由を感じると述べています。彼女にとって、演じることは自分自身でいるよりも自由であり、それが女優としての魅力であると語っています。
一方、広山詩葉は、自分の持つ表現力を曝け出すことに対する恐怖を感じつつも、役に没頭していく過程を楽しんでいたと述べています。彼女の演じる「宮園咲良」は、弱い自分を他人に見せまいとして生きてきた女性であり、そのキャラクターに共感する部分もあったと語っています。
映画「Page30」は、女優たちの葛藤と成長を描くと同時に、彼女たちの演技力や表現力を引き出す作品です。閉鎖空間での即興的な演技が、どのように観客に伝わるのか、ぜひその目で確認してみてください。
[高橋 悠真]