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2024年11月29日 07時20分

兵庫県知事選のSNS戦略と法的論争:折田楓氏の影響力

「SNS戦略」と「公職選挙法」:兵庫県知事選におけるPR活動の舞台裏

兵庫県知事選後の今、再選を果たした斎藤元彦知事をめぐる「PR戦略」と「公職選挙法」違反の疑惑が話題となっている。特に注目されているのは、PR会社「merchu」の折田楓社長(32)が斎藤氏の選挙活動にどのように関与していたのかである。斎藤知事の再選に大きく貢献したとされるSNS戦略は、彼女の手によるものだったのか。この問題の背景と今後への影響について探ってみよう。

折田楓氏は、自身のSNSでの華やかなライフスタイルでも知られる人物であり、その影響力は小さくない。彼女が愛用する高級ブランド「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のセットアップが品切れ状態となったことでも、その影響力の大きさがうかがえる。折田氏が斎藤知事の広報活動に関与したとする投稿が問題視されているが、インターネット記事の公開後、彼女のSNSアカウントは更新が停止された。

斎藤知事陣営と折田社長の間に交わされた「口約束」

問題の核心は、折田氏と斎藤知事陣営の間で交わされたとされる「広報全般を任された」という口約束にある。これが公職選挙法に違反するのではないかという疑惑が浮上している。斎藤氏は、選挙活動の一環としてポスター制作に70万円を支払ったことを認めているが、SNSでの広報活動については「ボランティアとしての参加」として、報酬は発生していないと主張している。斎藤氏の代理人弁護士は、記事の内容に「事実である部分と事実でない部分がある」として、名誉毀損の可能性にも言及している。

このような状況下で、斎藤知事は公職選挙法違反の疑惑を否定し、「選挙戦は適法に行った」と強調している。SNS記事については、事前に聞いておらず、戸惑いを感じているとも述べている。彼の主張は、折田氏の投稿が斎藤陣営の意図を超えて独自に行われたものである可能性を示唆している。

「SNS戦略」と「公職選挙法」の狭間で

今回のケースは、現代の選挙戦におけるSNS戦略の重要性を浮き彫りにしている。従来のメディアを使った広報活動に比べ、SNSはより直接的かつ瞬時に有権者にメッセージを伝えることができる。しかし、その反面、SNSでの活動が公職選挙法に抵触するリスクも増している。

SNS戦略が選挙結果に与える影響は大きく、斎藤知事の再選もSNSを活用したキャンペーンが一因とされている。折田氏がどの程度この戦略に関与していたのかは明確になっていないが、彼女の投稿が選挙戦における重要な要素だったことは間違いないだろう。

一方で、SNSを駆使する選挙戦が増える中、ルールの整備が求められている。公職選挙法は、候補者とその支援者の間に明確な契約や報酬のやり取りがある場合に適用されるが、SNSのような新しいメディアを通じた活動がどのように法に抵触するのかは、まだ議論の余地がある。今回のケースは、今後の法整備に一石を投じることになるかもしれない。

まとめると、兵庫県知事選のPR活動をめぐる問題は、SNSの影響力と法の狭間で揺れる現代の選挙戦の複雑さを浮かび上がらせている。斎藤知事の再選を支えたSNS戦略は、折田楓氏のような個人の影響力をどのように法的に位置づけるべきかという新たな課題を提示している。今後、選挙活動におけるSNSの役割と法的枠組みについての議論が進むことが期待される。

[鈴木 美咲]