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2024年11月29日 07時19分

政府が「103万円の壁」を見直し!若者の働きやすさ向上へ

政府、特定扶養控除の見直しへ:103万円の壁を越えて学生の労働環境改善を目指す

日本政府と与党は、学生の親に対する「特定扶養控除」の年収要件を引き上げる方針を固めました。これは、学生がアルバイトで収入を得る際に直面する「年収103万円の壁」を取り除き、親の税負担を軽減することを目的としています。この動きは、少子高齢化が進む日本において若い世代の労働参加を促進し、人手不足を補うための重要な政策変更となり得ます。

特定扶養控除は19歳から23歳の学生を持つ親が対象で、学生の年収が103万円以下であれば、親は所得税で63万円、住民税で45万円の控除を受けることができます。しかし、学生の年収が103万円を超えると、親は扶養控除を失い、世帯全体の手取りが大幅に減少するため、多くの学生が収入を調整せざるを得ない状況にあります。このため、若者が就労を控える傾向が指摘されてきました。

家庭と働く学生の課題

学生の働き控えは、特に大学生など高等教育を受ける若者にとって大きな問題です。彼らは学費や生活費の一部をアルバイトで賄っていることが多く、扶養控除の制限があることで、十分に働けない状況に直面しています。実際、特定扶養控除の年収要件が103万円から引き上げられることを期待する声が多く聞かれています。居酒屋で働く学生が「12月は忙しくてシフトに入れない」といったエピソードは、現行制度の窮屈さを物語っています。

親からの視点でも、「働きたいけど働けないのはもったいない」という声があり、子どもが学業に差し支えない範囲で働ける環境を求めています。このような声を背景に、政府・与党は特定扶養控除の見直しを急いでいます。

政策の背景と今後の見通し

この見直しの背景には、日本の経済社会における人手不足の深刻化があります。少子高齢化が進む中で、労働力人口の減少は避けられない課題であり、若い世代を労働市場に引き込むことが急務となっています。特に、大学生などの若者がアルバイトを通じて社会経験を積むことは、将来的なキャリア形成においても重要です。

政府は、2025年度の税制改正に向けて、年収103万円の壁を引き上げる具体策を検討しています。これにより、学生がより自由に働ける環境を整え、親の税負担を軽減することが期待されています。しかし、年収要件を引き上げる場合の減収分をどのように補填するかについては、今後の重要な課題です。

また、国民民主党を中心に、特定扶養控除に関する議論が盛んに行われています。同党の玉木雄一郎代表は、103万円の壁の見直しが「流行語大賞になり得た」と語り、制度改革の重要性を訴えています。

政府の動きに対する期待は高く、特定扶養控除の年収要件が130万円程度に引き上げられれば、月に10万円の収入を得ることが可能になり、多くの学生がより安定した経済基盤を築くことができるでしょう。

一方、玉木代表を巡る不倫問題が報じられ、政界における信頼の問題も浮上しています。彼の個人的なスキャンダルが政策の進展に影を落とす可能性も否定できませんが、彼は引き続きエネルギー政策など重要な議題に取り組む姿勢を見せています。

政府の特定扶養控除見直しの動きは、若者の労働環境を改善し、親の税負担を軽減するだけでなく、長期的には日本経済全体への好影響が期待されます。28日から始まる臨時国会では、これらの議題がどのように進展するかに注目が集まります。

[佐藤 健一]