経済
2024年11月29日 07時00分

谷口信輝が語る未来の自動車!「人馬一体」で見極めるCOTY候補

谷口信輝が語る「人馬一体」:2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー候補に見る未来の自動車

2024-2025年の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)候補車が集結するなか、注目を集めるのがレーシングドライバーでありモータージャーナリストの谷口信輝氏による試乗評価だ。谷口氏は、11月27日に行われた10台の候補車への試乗・取材会で、「人馬一体」というキーワードを基に、それぞれの車の特性を鋭く分析した。この「人馬一体」とは、車とドライバーが一体となることで生まれる操縦の楽しさや安全性を指し、谷口氏が最も重視する評価基準の一つである。

今年のCOTY候補には、スズキ・フロンクスやトヨタ・ランドクルーザー250など、日本国内で発表されたさまざまな車が名を連ねている。このバラエティに富んだラインナップは、現代の自動車が多様なニーズに応えながら進化していることを象徴している。

多様な候補車が示す自動車市場の未来像

候補車の中には、個性的なモデルやファミリー向けの実用的なモデルが混在している。たとえば、スズキ・フロンクスは、日常の利便性と価格設定を重視した車として評価されている。谷口氏は「尖る気がゼロ」と評し、特に車に興味のない消費者にも満足感を提供すると述べた。このような車は、実用性を重視する消費者にとって大きな魅力となるだろう。

一方で、トヨタ・ランドクルーザー250はその乗り心地の良さやオフロードでの性能において、従来のファンを魅了し続けている。この車は、オフロード性能を保持しつつも、日常のドライビングに適した快適さを提供することに成功していると言える。

さらに、マツダCX-80やボルボEX30のようなモデルは、エコ志向と高性能の両立を図った設計が特徴的だ。特にボルボEX30は、コンパクトなボディでありながら、パワフルなモーターと優れた制御性能を示し、谷口氏の期待を良い意味で裏切ったという。

谷口信輝が注目する「遊び心」と「操縦性能」

谷口氏は、候補車の中で特にヒョンデ・アイオニック5 Nに注目した。彼は、この車のパワフルな加速と旋回性能を絶賛し、特にトルクベクタリングによるコーナリングの楽しさを強調した。さらに、擬似エンジンサウンドや擬似シフトショックといった遊び心のある機能も、彼の心を捉えたようだ。

CRSラリー号のシェイクダウンでは、谷口氏はドリフトマシンとして仕上げられたハイエースの意外なパフォーマンスを体験した。高重心ながらもFR駆動とマニュアルミッションを生かしたドリフト性能は、彼にとって新鮮な驚きであった。CRSが手掛けるこのラリー号は、従来のハイエースのイメージを覆す大胆な試みであり、ドライビングの楽しさを新たな角度から提供している。

このように、谷口氏の評価を通じて見えてくるのは、自動車が単なる移動手段に留まらず、ドライバーにとってのパートナーであるという考え方だ。彼が重視する「人馬一体」の感覚は、自動車がどのように進化していくべきかを示唆している。

今後、技術革新が進む中で、自動車業界はますます多様化し、個々のニーズに応じた製品を提供することが求められるだろう。谷口氏のコメントからも、あらゆる車が「誰が乗っても乗りやすい」という完成度の高さを追求していることが伺える。COTYの最終選考会では、これらの車がどのように評価されるかが注目されるが、それ以上に、現代の自動車に求められる多様な価値観がどのように反映されているかが、今後の市場を占う上で重要なポイントとなるだろう。

最終選考会は12月5日に予定されており、谷口氏がどの車に最高点を投じるのか、その選択が注目されている。彼の選択は、単なる結果以上に、未来の自動車が追求すべき方向性を示すものとも言えるかもしれない。

[中村 翔平]