谷口信輝が語る「人馬一体」の美学:2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤーへの挑戦
人馬一体の美学と革新の衝突:2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤーへの道
2024-2025年の日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)をめぐる競争が激化する中、選考委員の一人である谷口信輝氏が10ベストカーの試乗を通じて語った「人馬一体」という概念は、クルマの魅力を再評価するための新たな視点を提供しています。彼の経験と洞察は、単なるスピードやパフォーマンスを超えた、ドライバーとクルマの調和を追求する姿勢を示しています。
今年の候補車は、スズキ・フロンクスからボルボEX30まで、多様なラインアップが揃いました。それぞれが独自の技術革新を持ち寄り、クルマの未来を形作る力を備えています。
谷口信輝の選考基準:「人馬一体」の魅力
谷口氏は、スポーツカー好きとしてのイメージが先行する中で、あらゆる車種に対して「人馬一体」を最も重要視する評価基準を持っています。これは、車とドライバーが一体となって動く感覚を指し、その結果として運転の楽しさや安全性が向上するという考え方です。谷口氏は、試乗した各車について、運転時のフィードバックや車両の挙動を通じてこの基準を評価しました。
スズキ・フロンクスについては、その尖らない特性が日常使用に適していると評価し、トヨタ・ランドクルーザー250では、柔らかいサスペンションによる快適な乗り心地が「フワンフワン感」として楽しさを提供していると述べています。ホンダ・フリードは、そのパワーがファミリーカーとして必要十分であり、ハイブリッドの特性が運転のしやすさを向上させていると指摘しました。
技術の進化と個性の融合
候補車の中には、電動化の波を受けて進化を遂げたモデルも多く存在します。たとえば、BYDシールやヒョンデ・アイオニック5 Nは、電動パワートレインによる新しい運転体験を提供しており、特にアイオニック5 Nはその圧倒的なパワーと旋回性能で谷口氏を驚かせました。これらの車両は、環境に優しいだけでなく、ドライバーに新しい楽しみを提供することを目指しています。
一方で、レクサスLBXのように、グランドツーリングを想起させる上質さと、振り回す楽しさを両立するモデルもあります。これらは、ただの移動手段を超え、乗ること自体が一つの娯楽となるような体験を提供します。
CRSの挑戦:ラリーとドリフトの狭間で
同じく注目を集めるのが、CRSのハイエースによるラリーへのチャレンジです。CRSは、かつてハイエースでのドリフトという前代未聞の挑戦を成功させた実績があります。今回のラリー挑戦は、重心が高く、通常のスポーツカーとは異なる特性を持つハイエースをどのように競技車両として仕上げるかという新たな試みです。
谷口氏は、このユニークなアプローチに対しても高い評価を与えています。従来の枠にとらわれない発想は、モータースポーツの可能性を広げ、車両開発の新たな方向性を示唆しています。
総じて、2024-2025年のCOTY候補車は、未来の自動車が持つべき多様な方向性と、それぞれの個性を強く主張しています。どの車が最終的に栄冠を手にするかは未知数ですが、谷口氏が強調する「人馬一体」の美学が、これからの車選びにおいて重要な基準となることは間違いありません。
最終選考会は12月5日に行われ、公式YouTubeチャンネルでその模様が配信される予定です。自動車ファンは、今年を代表する1台が決定する瞬間をお見逃しなく。そして、その選択が未来の自動車産業にどのような影響を与えるのか、期待が高まります。
[中村 翔平]