国際
2024年11月29日 12時19分

トランプ2.0が中東を揺るがす:イラン・イスラエル・ガザ停戦の未来は?

「トランプ2.0」の影響下で揺れる中東:イラン、イスラエル、そしてガザ停戦の行方

中東の情勢が再び緊張を増す中、地域の安定を取り戻すための取り組みが急務となっています。特に注目されるのが、アメリカの次期大統領に再選されたドナルド・トランプ氏の政策です。彼の強硬姿勢がどのように中東に影響を及ぼすのか、専門家の見解とともに探ってみます。

2023年11月、米国のバイデン大統領はイスラエルとイランが支援するレバノンの民兵組織ヒズボラの停戦合意を発表しました。しかし、イスラエルとハマスの戦闘は依然として続いており、その緊張は高まるばかりです。トランプ氏が再び大統領に就任した場合、イランに対する政策はさらに厳しさを増すと予想されています。トランプ氏の1期目でのイラン核合意からの離脱や、イラン革命防衛隊の司令官暗殺という過去の行動からも、彼の強硬な姿勢が伺えます。

田中浩一郎教授によれば、トランプ氏は非常に親イスラエル色の強い政治家であり、イスラエルのネタニヤフ首相にとっては、彼の再選が願ってもない状況です。イスラエルはガザ地区での軍事プレゼンスを強化しつつあり、これが中東の安定を妨げる一因となっています。

ガザ停戦への期待と現実

イスラエルとヒズボラの停戦が成立したとはいえ、ガザ地区での戦闘は続いています。イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスの「殲滅」を公然と掲げており、停戦への道のりは険しいものです。バイデン大統領は、エジプトやカタール、トルコと連携し、ガザでの停戦実現に向けた努力を続けていますが、ネタニヤフ氏の戦闘継続の意志は強固です。

イスラエル軍はガザ地区に長期駐留を計画しており、ガザからのパレスチナ人の追放をも視野に入れていると見られます。このような動きは、パレスチナ側の強い反発を招くとともに、国際社会からの批判も免れないでしょう。

イランを取り巻く緊張と核武装論の台頭

イランにとって、ハマスやヒズボラはイスラエルに対する重要な抑止力です。トランプ氏が再び大統領に就任した場合、イランに対する経済制裁や軍事的圧力が強化されることが予想されます。すでに米国は、イランに対する姿勢を一段と厳しくしている兆候があります。イラン国内では、こうした外部からの圧力に対抗する手段として、核武装論が再び台頭しています。

専門家の田中氏は、イランが核武装に向かうことで、サウジアラビアも追随する可能性が高いと指摘します。中東において核拡散の危機が高まる中、地域の安定はさらに遠のくばかりです。

トランプ氏の政策とその影響

トランプ氏が「第3次世界大戦を未然に防ぐ」と主張している一方で、その中東政策はむしろ逆効果をもたらす懸念があります。彼の政権は、親イスラエル派やイラン強硬派を要職に任命し、中東情勢をさらに複雑にする可能性が高いです。

トランプ氏がイランへの軍事行動を選択するかどうかは不透明ですが、ネタニヤフ氏の意向に同調し、イランを挑発する行動をとる可能性があります。特に、イランから中国への原油輸出ルートを封鎖するような行動は、国際的なエネルギー市場にも大きな影響を与えるでしょう。

中東情勢の流動化が続く中、国際社会はより一層の調停努力を求められています。イランとイスラエルの対立が激化することで、周辺国を巻き込んだ大規模な紛争に発展する危険性も否定できません。トランプ氏の政策がどのように展開し、中東の未来にどのような影響を及ぼすのか、注意深く見守る必要があります。

中東における平和と安定の実現は、世界全体の安全保障にも直結する課題です。国際社会が協調し、対話を通じて持続可能な解決策を見出すことが求められています。特に、米国の影響力が大きい中東において、トランプ氏の今後の政策が鍵を握ることは間違いありません。

[高橋 悠真]