経済
2024年11月29日 18時18分

資生堂、新事業戦略で脱中国依存へ!8ブランドに集中投資

資生堂の新たな事業戦略:脱中国依存とブランド集中投資

資生堂は、2026年までの新たな事業計画を発表し、その中で業績低迷に対する対策として、収益性の高い8つのブランドに投資を集中することを決定しました。この動きは、中国事業への過度な依存からの脱却を図り、日本や欧米、アジア地域での成長を目指すものです。藤原憲太郎社長は「地域のリバランスを進める」と述べ、資源を最も有望な市場とブランドに集中させる方針を示しました。

中国市場の現状と資生堂の挑戦

資生堂はこれまで中国市場に大きく依存してきましたが、近年の中国経済の減速や消費者の購買意欲の低下により、同社の業績は厳しい状況に直面しています。さらに、福島第一原子力発電所の処理水放出を巡る不買運動も影響を及ぼし、中国での売上は大幅に減少しました。これにより、資生堂は中期経営計画で掲げた2024年のコア営業利益率6%という目標を達成することが困難になり、2026年に7%を目指すと下方修正しました。

藤原社長は、中国市場について「かつてほどの急成長は見込まないが、中長期的には依然として巨大な消費市場である」とし、慎重なアプローチを取ることを表明しました。資生堂は、クリームなど高付加価値を感じられる製品に注力することで、競争が激化する市場での差別化を図る考えです。

新戦略の柱:ブランド集中とコスト構造改革

資生堂の新たな戦略の中心にあるのは、8つのブランドに対する集中投資です。主力ブランドの「SHISEIDO」や「NARS」、そして日焼け止めの「アネッサ」などが含まれます。これらのブランドは、売上高が1千億円を超えるものや、成長が見込まれる市場での人気を誇るものです。その他のブランドについては、撤退や縮小も視野に入れています。

この戦略の実行には、2024年から2026年にかけて計400億円超のコスト構造改革が含まれています。資生堂は固定費を中心とした250億円のコスト削減を計画しており、損益分岐点を引き下げることで、よりレジリエントな財務基盤を築こうとしています。

国際市場への進出と成長の見通し

資生堂は、今後の成長を日本や欧米、アジアパシフィック地域において見込んでいます。これらの地域では市場を上回る成長が期待されており、同社は「アジア人の肌のエキスパート」としての地位を活かし、消費者に対して独自の価値を提供する計画です。

マーケティング投資には300億円を充て、収益性と成長性の高いブランドに対して集中的に資源を投じます。同時に、保有資産の見直しを進め、設備投資も厳選して行うことで、企業全体の効率を高める施策を講じています。

まとめに入ると、資生堂の新たな事業戦略は、変化する国際市場の中で持続可能な成長を実現するために必要な変革です。中国依存から脱却し、多様な地域での地道な成長を目指すこの戦略は、短期的な業績改善だけでなく、中長期的な企業価値の向上をも視野に入れています。資生堂がこの新たな挑戦を成功させるためには、各市場の特性に応じた柔軟な戦略と、革新的な製品開発が求められるでしょう。この変革期を乗り越えることで、資生堂はさらなるグローバルブランドとしての地位を確立する可能性を秘めています。

[松本 亮太]