茨城の魅力再発見!アーストラベル水戸の挑戦がXで話題に
茨城県の隠れた魅力を掘り起こす!アーストラベル水戸の大胆な挑戦
茨城県と聞いて、観光地としてピンと来る人は少ないかもしれません。しかし、その「弱み」を「強み」に変え、地域の魅力を再発見することに成功したのが、アーストラベル水戸の社長、尾崎精彦さんです。彼の革新的な取り組みによって、同社はコロナ禍を乗り越え、売り上げを3倍にまで伸ばしました。
教育旅行が拓く新たな地平
アーストラベル水戸は、コロナの影響で旅行業界全体が厳しい状況に立たされる中、茨城県の農業や漁業、科学研究などの地域資源を活用した「職業体験旅」を開発しました。尾崎さんは、「子どもたちの学びを止めたくない」との思いを胸に、オンラインで済ませることができない、実際の体験に重きを置いたプログラムを構築しました。
このプログラムは、単なる観光ではなく、地域の専門家やプロフェッショナルとの出会いを通じて、子どもたちに本物の体験を提供するものです。例えば、農業体験では収穫から出荷までの一連の作業を手伝い、漁業では競りの様子を見学し、その後の流通過程まで学びます。「ヒトたび」というコンセプトのもと、夢中になって働く大人との出会いが、子どもたちの心を動かすのです。
茨城県の「観光地としてのイメージ」を刷新
茨城県には新幹線の駅もなく、観光地としての知名度は低い。しかし、尾崎さんはその「弱み」を逆手に取り、茨城県の地域資源を最大限に活用することで、新たな価値を創造しました。茨城在住の子どもたちが県内でお金を使い、さらに首都圏の子どもたちが茨城を訪れることで、地域経済の循環を生み出すという新しいビジネスモデルを確立しています。
アーストラベル水戸の教育旅行は、茨城県内の30市町村に広がり、農業や漁業、伝統工芸、科学などをテーマにした多様な体験プログラムを提供しています。その結果、2023年には50件(約5千人)、2024年には60件(約6千人)へと教育旅行が拡大しました。首都圏の学校からも高い評価を受け、継続率は100%を維持しています。
事業承継の新たなアプローチ
さらに、尾崎さんは「事業承継の親子旅」というユニークなプログラムを開発しました。これは、事業承継に悩む経営者と後継者が共に学び、価値観やビジョンを共有する場を提供するものです。水戸の歴史ある地で、歴史学習や座禅体験、デジタルデトックスなどを通じて、親子でのコミュニケーションを深め、事業承継の成功につなげることを目指しています。
この親子旅には、中小企業診断士の資格を持つガイドによる専門的な解説や、事業承継を成功させた企業への訪問など、実践的な内容が盛り込まれています。尾崎さんは、「親子で共に学ぶことで、事業承継がスムーズに進む」と語ります。水戸の地での体験が、未来のリーダーを育てるきっかけになることを期待しています。
地域への還元を目指して
アーストラベル水戸は、観光産業を通じて地域社会に貢献することを目標に掲げています。年商は約3倍の3億5千万円まで成長し、2024年からは中期的な戦略を立案しています。売り上げ構成も、学校が6割、一般企業が3割、行政が1割と安定しています。
尾崎さんは、「地域の魅力を発信し、観光産業の価値を向上させることで、地域の課題解決に貢献したい」と意気込みます。茨城県の伝統産業の担い手不足や、若者の流出といった問題にも取り組み、地域の未来を見据えた活動を展開しています。
このように、アーストラベル水戸の取り組みは、地域の隠れた魅力を掘り起こし、新たな観光資源として再発見することに成功しました。尾崎さんのリーダーシップのもと、茨城県の観光地としての地位を確立し、地域経済の活性化につなげることを目指しています。彼の挑戦は、観光業界における新しい可能性を示すものとして、今後も注目されることでしょう。
[高橋 悠真]