早大、伝統の「早明戦」で劇的勝利!100回目の対戦で見せた防御の力
早大、伝統の「早明戦」で大勝利―歴史を紡ぐ100回目の対戦
1923年に初めて行われたラグビーの名門対決「早明戦」が、今年で記念すべき100回目を迎えた。12月1日、東京の国立競技場で開催されたこの試合において、早稲田大学(早大)が27-24で明治大学(明大)を下し、6年ぶりの対抗戦優勝を果たした。観衆4万人を超える大観衆の中、早大の勝利のカギを握ったのは、試合終盤に見せた堅実なディフェンスだった。試合の熱気を一言で表すなら、「歴史の一部」といえるだろう。
攻撃と防御の絶妙なバランス―勝利の立役者、矢崎由高
試合のハイライトは、後半21分に日本代表FB矢崎由高が決めた値千金の勝ち越しトライだ。彼は相手のタックルをかわし、最後は2人を引きずってゴールラインを越えた。この場面は、まるで古代ローマの剣闘士が勝利を掴む瞬間のように劇的だった。
矢崎は、「自分の年齢の5倍の歴史を持つ試合に出場できたことは光栄」と語り、先輩たちが築き上げた歴史を引き継ぐ責任を感じているとした。彼のその姿勢は、伝統を重んじる早大ラグビー部の魂を体現している。
最終盤のディフェンス―勝負を決めた「鉄壁の守備」
試合の最終盤、早大は3点差に追い上げられ、明大に逆転のチャンスを与える状況に立たされていた。明大が得意とするラインアウトモールからの攻撃を仕掛けてきたが、早大のフッカー佐藤健次主将は「最後はディフェンスだ」と声をかけ、チームを鼓舞した。
この場面で、1年生のSO服部亮太とWTB田中健想が、相手のボール保持者をタッチラインの外に押し出すことで試合終了のホイッスルを引き出した。このディフェンスは、まるで最後の砦を守る騎士のように勇敢であり、早大にとっての「真の勝利」を象徴していた。
ディフェンス強化の背景―明大を意識した戦略
今年の早大は、ディフェンス強化に多くの時間を費やした。監督の大田尾竜彦は「FWの強さを伝統とする明大に勝つためには、ディフェンスの整備やセットプレー、フィジカルの強化が必要だった」と振り返る。実際、昨季の対抗戦での平均失点25.5点を、今季は8.1点にまで減少させた。この数値は、まるでダイエットに成功したような劇的な変化だ。
歴史と未来をつなぐ試合―次なる目標は大学選手権
「早明戦」は、単なるスポーツイベント以上のものである。1923年の第1回大会から100年を超える歴史を紡いできたこの試合は、早大と明大の学生たちにとって、青春の一部であり、人生の重要な一ページだ。
大田尾監督は「彼らに勝つためのクエスチョンをくれる相手」と明大を評し、次なる目標として大学選手権での優勝を掲げている。早大の佐藤健次主将は「やっぱり大学選手権で優勝しないと満足できない」と誓い、さらなる高みを目指している。
この試合を経て、早大は伝統を守りつつ、未来の新しい歴史を築くための一歩を踏み出した。彼らの挑戦は、これからも続いていく。まるで、古いワインと新しいワインが絶妙にブレンドされるように、歴史と未来が交差する瞬間であった。
[鈴木 美咲]