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2024年12月02日 17時00分

「女は無口がいい」発言に非難殺到!時代錯誤のジェンダー観を問う

「女は無口がいい」とは誰のため?—時代錯誤のジェンダー観が浮き彫りに

国際政治学者の三浦瑠麗氏が、兵庫県知事選の広報活動を巡る発言で再び注目を集めています。彼女が批判したのは、テレビ司会者の上沼恵美子氏の「女は無口がいい」という発言。この発言は、選挙戦におけるPR会社の女性経営者への偏見を助長するものであり、多くの人々の耳に痛く響きました。

上沼氏の発言は、斎藤元彦氏が再選を果たした兵庫県知事選で、PR会社の女性社長がSNS戦略などを担当したことに関するものでした。上沼氏は、女性経営者が「しゃべりすぎた」と言い、「女は無口がいい」と断じたのです。これに対し、三浦氏は「今世間がたたきたい女をたたくためには何でもありの日本」と切り出し、偏見を無自覚に広めることの危険性を指摘しました。

この発言は、多くの人々にとって旧態依然としたジェンダー観を再認識させるものでした。女性が果たす役割や発言する権利が未だに制限されると考える人々がいることは、現代においても驚くべき事実です。

PR会社の役割と斎藤元彦知事の選挙戦略の舞台裏

斎藤元彦知事の選挙に関する疑惑は、PR会社「merchu」の女性社長が、自身が選挙戦略を考案したとする投稿から始まりました。彼女の発言が公職選挙法違反の疑いを生じさせ、斎藤氏の弁護士が「事実ではない」と否定しました。しかし、この否定には具体的な証拠が欠けていると指摘されています。

弁護士の西脇亨輔氏は、この問題には多くの疑問が残ると述べています。斎藤氏の弁護士は、PR会社に支払ったのはポスター代のみで、SNS戦略の報酬は存在しないと主張しました。しかし、無料でSNS戦略を提供したとなれば、今度は企業献金として政治資金規正法違反の疑いが出てきます。

ここで浮上するのは、女性社長が本当に「盛った」だけなのかという疑問です。斎藤氏の弁護士は、SNSを監修したのは女性社長ではなく斎藤陣営だと主張しましたが、この陣営に具体的な組織や責任者が存在しないことも明らかにされています。

口頭契約と法的曖昧さ—選挙の“グレーゾーン”をどうするか

さらに問題を複雑にしているのが、PR会社との契約が口頭で行われたという点です。三浦瑠麗氏はこれに対し、テレビ業界でも同様の口頭契約が一般的であることを指摘しました。口頭契約が法的にどれほどの効力を持つのか、そしてそれがどのように選挙法に影響するのかは、今後の議論の焦点となるでしょう。

三浦氏は「公職選挙法が時代にあっていない」とし、法律が現代の選挙活動の実態に即していないことを強調しました。この法律の曖昧さが、現代の選挙におけるトラブルを引き起こしていると指摘しています。

選挙法の改正が必要であるという意見は、選挙活動がますますデジタル化し、その手法が多様化する現代において、ますます重要性を増しています。現行の法律がデジタル時代に合わないのであれば、法律を作る側の政治家がその改正を率先して行うべきだという声が高まっています。

女性の声を封じるな—現代社会が求める変革とは

上沼氏の「女は無口がいい」という発言は、女性の声を封じ込める古い価値観を象徴しています。しかし、三浦氏のようにこれに反発する声があることは、社会が変わりつつある証拠でもあります。ジェンダー平等が叫ばれる現代において、女性の発言を制限するような価値観は、もはや受け入れられないものです。

この問題は、単なる一地方選挙のトラブルにとどまらず、社会全体のジェンダー観や法制度の在り方を問い直すきっかけとなっています。選挙戦略を巡るトラブルが、社会にどのような影響を及ぼすのか、そして未来にどのような変化をもたらすのか。私たちは、その行方を見守り続ける必要があります。

[鈴木 美咲]