ジョージア政治の嵐:EU加盟交渉停止でズラビシビリ大統領と議会が対立!
ジョージアの政治風雲:EU加盟交渉停止を巡る大統領と議会の対立
ロシアの隣国ジョージアで、政治の風雲が再び急速に巻き起こっています。EU加盟交渉の停止を巡り、大規模なデモが首都トビリシを中心に続いている中、親欧米派のサロメ・ズラビシビリ大統領が任期満了後も職にとどまる意向を表明しました。この動きは、ジョージアの政治的な未来を揺るがす重大な局面を迎えています。
EU加盟交渉停止とデモの背景
ジョージアは長年にわたり、ヨーロッパとの関係を深めるための努力を続けてきました。EU加盟はその象徴的な目標であり、特に都市部の若者や親欧米派にとっては希望の灯でした。しかし、11月の議会選挙で勝利した「ジョージアの夢」政権は、ロシアとの関係を重視し、EU加盟交渉を4年間停止すると発表しました。この決定は、親欧米派の市民にとっては、未来を奪われたかのような衝撃的な出来事でした。
ジョージアの首都トビリシでは、日々の生活がデモの騒音で満たされており、デモ参加者と治安部隊との衝突も頻繁に起きています。市民たちは、政府が示したロシア寄りの姿勢に強い反発を示し、街頭での抗議活動を続けています。
ズラビシビリ大統領の決意と議会の反応
親欧米派のズラビシビリ大統領は、これまでEU加盟を支持し続けてきた政治家として、多くの市民から支持を集めています。彼女は、昨年の選挙が不正に行われたとし、「合法な議会が今は存在しない」と非難しました。そのため、任期満了後も大統領職にとどまると表明し、合法的な議会が設立されるまでその立場を守ると宣言しました。
一方で、政権与党側は、12月14日に予定されている大統領選挙を準備しており、さらなる政治的混乱が予想されます。与党にとっては、ズラビシビリ氏の動きは、政権の正当性を脅かす行為であり、彼女を大統領職から引きずり下ろすための法的手段を模索しています。
ジョージアの憲法改正と選挙制度
ジョージアの政治的混乱の背景には、2017年の憲法改正があります。これにより、大統領選挙は国民の直接投票から議会による間接選挙に変更されました。この変更は、与党が議会での影響力を強めるための戦略とも見られています。直接選挙であれば、人口の多い都市部で圧倒的な支持を受ける親欧米派が有利ですが、間接選挙では議会の支配力がものを言います。
現政権は、こうした制度を利用して親ロシア的な政策を推進していますが、多くの市民は、これを「民主主義に対する逆行」と捉えています。特に若者の間では、欧州への憧れが根強く、彼らにとっては、ジョージアが「小さなロシア」になることを恐れています。
ジョージアの未来:分裂か統合か
ジョージアは、過去に幾度となく政治的な試練を経験してきました。旧ソ連の構成国として、ロシアの影響力からの独立を目指してきた歴史は、現在の対立構造を理解する上で欠かせない要素です。ジョージアがEUとの関係を深めることは、ロシアの影響力からの脱却を意味する一方で、地理的にも文化的にも複雑な問題を抱えています。
このような背景の中、ズラビシビリ大統領の決断は、国の方向性を再び欧米寄りに引き戻すための試みと見ることができます。しかし、与党との対立が続く限り、ジョージアの政治は不安定な状態が続くでしょう。果たしてこの国は、分裂の危機を乗り越え、再び統合への道を進むことができるのでしょうか。その答えは、これから数ヶ月の国民の動向と、国際社会の反応にかかっていると言えるでしょう。
[鈴木 美咲]