韓国で45年ぶりの非常戒厳宣言!尹錫悦大統領の決断が引き起こす政治的嵐
韓国で45年ぶりの非常戒厳宣言:政治的嵐が巻き起こる
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、突然の非常戒厳を宣言し、国内外に衝撃を与えた。大統領は「自由大韓民国を亡国の奈落から救う」と宣言したが、この発表は多くの市民にとってはまるで歴史の教科書から飛び出してきた出来事のように感じられた。非常戒厳の実施は、1987年の民主化以降初めてであり、韓国憲政史上17回目の事態である。
尹大統領の戒厳宣言は、野党「共に民主党」による政府への弾劾企図や予算削減、政局の麻痺を理由に挙げた。しかし、法学者たちはこの戒厳が憲法上の「戦時・事変またはこれに準じる国家非常事態」に該当するのか疑問を投げかけている。ソウル大学のハン・インソプ教授は、「非常戒厳の理由は到底成立しない」とし、今回の戒厳宣言が大統領弾劾の十分条件を満たすとの見解を示している。
韓国市民の不安と混乱
戒厳宣言後、国会議事堂は混乱に包まれた。真夜中に宣言された戒厳令に市民たちは戸惑いを隠せず、「国が滅びるのではないか」といった声が上がった。20代の若者たちは、戒厳宣言が現実に起きていることに驚きと不安を感じ、70代のタクシー運転手は「数十年ぶりにこのような状況が再現されるとは信じがたい」と語った。市民の間には、非常戒厳の影響を心配する声が広がり、日常生活への影響を懸念する意見が多く聞かれる。
戒厳令下では、軍が行政と司法を掌握し、言論や出版が統制されるため、表現の自由が制限される可能性がある。このため、テレグラムのような海外サーバーを利用したメッセンジャーアプリへの加入者が急増し、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用する動きも見られる。市民はデジタル空間においても「避難」を試みている。
法曹界と政治界の動揺
戒厳宣言に対する法曹界の反応は厳しい。戒厳法の解釈を巡って意見が分かれ、宣言の合法性に疑問が投げかけられている。高麗大学のチャ・ジナ教授は、「戦時や事変に準じる状況とは、軍や警察力で秩序が維持できない状態を指す」とし、今回の戒厳がその基準を満たしているかどうかは疑わしいと指摘した。また、戒厳宣言が閣議を経たかどうかも議論の的となっており、手続き的要件を満たしていない場合、戒厳法違反と見なされる可能性がある。
政治界では、与党「国民の力」からも戒厳に反対する声が上がり、国会は戒厳令解除を求める動きに出た。禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は、国会本会議を招集し、戒厳令の解除を可決するための議論を進めた。尹大統領に対する反発は広がりを見せており、政治的な混乱はさらに深まる一方である。
戒厳令がもたらす影響は計り知れない。戒厳司令官に任命された朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長は、国会と政党活動の禁止や政治活動の制限を含む布告令を発表した。これにより、韓国全土での政治活動や言論の自由が著しく制限される可能性が浮上している。
韓国が今後どのような道を歩むのか、そして尹大統領の決断がいかなる結果をもたらすのか、国際社会も目を離せない。韓国の民主主義と市民の自由が守られるためには、さらなる対話と法の遵守が求められるだろう。
[高橋 悠真]