国際
2024年12月04日 07時40分

韓国の戒厳令再来!尹錫悦大統領の決断が社会を揺るがす

韓国、戒厳令の再来に揺れる社会

韓国が再び歴史のページをめくるような事態に直面している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳を宣言し、国家全体が揺れ動く状況となった。これは1980年の5・18民主化運動以来、44年ぶりのことだ。夜中に戒厳令が下され、国会周辺はまるで映画のクライマックスシーンのように混乱に包まれた。

市民の戸惑いと不安

戒厳令が発表された夜、ソウル市内ではヘリコプターの轟音が響き渡り、武装した兵士たちが国会庁舎に進入する姿が目撃された。市民たちは驚きと不安を隠せず、まるで時代が逆戻りしたかのように感じた。25歳のユンさんは友人と飲んでいたところ、戒厳令のニュースに驚愕し、「21世紀の韓国でこんなことが起きるとは」と嘆いた。タクシー運転手のキムさん(70)は、数十年ぶりにこのような状況が再現されることに信じがたい思いを抱いている。

戒厳令は市民生活に直接的な影響を与える。警察と市民の間で緊張が高まり、夜中の国会周辺では出入りを管理する職員たちが増えた。警察が進入を阻むも一部の市民が国会内に侵入するなど、混乱は続く。

政治的背景と意図

尹大統領は記者会見で「亡国の奈落に落ちようとしている自由大韓民国を再建して守り抜く」と述べ、北朝鮮の脅威や国内の反国家勢力を一掃するための措置だと説明した。しかし、これには多くの疑問が残る。大統領が非常戒厳を宣言するに至った背景には、野党との政治的対立がある。尹大統領は野党「共に民主党」を「反国家勢力」として名指しし、国会が「犯罪者集団の巣窟」と化していると非難した。

この戒厳令には、国会と政党活動の禁止、言論と出版の統制、令状なしでの逮捕権限などが含まれている。戒厳司令官として任命された朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長は、国内の安全と自由を守るための措置だと説明するが、これが果たして国民にどのように受け止められるのかは不透明だ。

歴史の影と国民の反応

韓国は過去にも戒厳令を経験しているが、今回のような非常戒厳は国民にとって特に衝撃的である。かつての全斗煥政権時代を思い起こす市民も少なくない。全州のパクさん(47)は「大統領がどうかしたのではないか」と懸念を示し、50代のキムさんは「戦争が起きたと思った」と話す。

政治的には、与野党の双方から強い反発が上がっている。野党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「尹大統領は国民を裏切った」と非難し、与党内からも戒厳令に反対する声が出ている。これは韓国の民主主義が直面する試練であり、今後の政局に大きな影響を与える可能性がある。

新たな時代のコミュニケーション

戒厳令が宣言されると、テレグラムの加入者が急増した。これは、表現の自由が制限される可能性を懸念した市民たちが「デジタル避難」を選択しているためだ。海外サーバーを利用したVPN(仮想私設網)を活用することで、通信の自由を確保しようという動きが広がっている。

情報の流れが制限される中、SNSやメッセージングアプリが市民の間で重要な役割を果たしている。デジタル時代における戒厳令の影響は、情報の自由とプライバシー保護に対する新たな課題を浮き彫りにしている。

戒厳令が解除されるかどうかは国会の動き次第だが、尹大統領がどのように対応するのかは依然として予測が難しい。国会自体が戒厳令解除の要求を可決したが、尹大統領がこれに応じるかどうかは未知数だ。戒厳令の解除が進まない場合、国会議員の逮捕が実施される可能性もあるとされ、国民は不安と期待の間で揺れている。

[松本 亮太]