国際
2024年12月04日 17時00分

韓国政治の嵐:尹大統領の非常戒厳がXで話題沸騰

韓国政治の嵐:尹大統領の非常戒厳とその波紋

2024年12月、韓国の政治舞台は突如として激しい嵐に見舞われた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が宣布した「非常戒厳」は、韓国国民のみならず、国際社会全体に衝撃を与える出来事だった。非常戒厳の宣布から解除までのわずか数時間は、韓国の民主主義史においても異例の出来事であり、その背後にある政治的駆け引きと対立が、韓国の今後の方向性に大きな影響を与えることは間違いない。

非常戒厳とは、通常、国家の安全が著しく危機にさらされている場合にのみ発動される制度である。しかし、今回の件では、多くの専門家や市民がその必要性を疑問視している。オスロ大学のウラジミール・ティホノフ教授は、「尹氏による非常戒厳の宣布は歴史を巻き戻そうとする試みだ」と述べ、韓国の民主主義に対する逆行であるとの見方を示している。戒厳令の発令は、かつての軍事政権時代の記憶を呼び起こし、韓国市民の間に不安と恐怖を誘った。

非常戒厳の影響と国際社会の反応

非常戒厳が宣布された背景には、尹大統領と最大野党「共に民主党」との深刻な対立がある。尹氏は、野党が国会を利用して国政を麻痺させていると主張し、これが非常戒厳を発令した理由だとしている。しかし、野党側はこれを真っ向から否定し、むしろ尹氏が自身と家族に関する不正疑惑から逃れるために戒厳令を発令したと非難している。これに対し、国際社会も静観しているわけではない。アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、事前に非常戒厳の計画を知らされていなかったことを明かしつつ、解除されたことを歓迎すると述べた。日本政府も「特段の関心を持って、事態を注視する」との声明を発表している。

弾劾訴追案と韓国の未来

尹大統領に対する野党の反応は迅速であった。最大野党「共に民主党」を含む6党が協力し、弾劾訴追案を国会に提出した。彼らは、尹氏が憲法と法律に違反して非常戒厳を発令したと非難し、弾劾の手続きを急いで進める意向を示した。韓国の国会では、与党側の一部議員が弾劾に賛成するかどうかが、今後の焦点となっている。

一方で、非常戒厳が已然の状態に戻ったとはいえ、その影響は広範囲に及ぶ可能性がある。市民の間での信頼の揺らぎ、経済活動への影響、さらには国際的な信用の問題など、多岐にわたる課題が浮上している。韓国社会がこれらの課題にどのように対処し、前進していくのか。2024年の冬、韓国の政治は嵐の中で新たな道を模索している。

[高橋 悠真]

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