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2024年12月04日 17時40分

トムヤムクン、ユネスコ無形文化遺産登録!タイのソフトパワーが世界に響く

トムヤムクン、無形文化遺産登録へ──タイのソフトパワーが世界に響く

タイ料理の代表格である「トムヤムクン」が、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されることが決まりました。このニュースは、タイ国内のみならず世界中の美食家たちにとっても喜ばしい知らせです。トムヤムクンは、酸味と辛味が絶妙に調和したエビのスープで、タイ料理の真髄を体現する一皿です。タイ首相府はこの決定を歓迎し、トムヤムクンを通じてタイのソフトパワーをさらに広げる意向を示しています。

トムヤムクンの起源と特徴

トムヤムクンは、エビをベースにレモングラスや唐辛子、ライムジュースなどのハーブやスパイスを使って作られます。その起源は、タイ中部の川沿いの地域にあるとされ、地元の豊富な食材と伝統的な調理法が結びついています。その味わいは、酸味と辛味のバランスが絶妙で、まるでオーケストラのように各素材が交響し合う一品です。タイ語で「トム」は煮る、「ヤム」は和える、「クン」はエビを意味し、これらの言葉が示す通り、素材の調和が重要視されています。

トムヤムクンはタイ人にとっては日常的な料理であり、その独特の味わいは多くのタイ人に愛されています。ユネスコがこの料理を無形文化遺産に登録した背景には、地元の食材に関する伝統的な知識を体現していることが挙げられます。料理を通じて歴史や文化が伝承されるという点で、トムヤムクンはまさに無形文化遺産にふさわしいと言えるでしょう。

ユネスコ登録の影響とタイのソフトパワー

ユネスコの無形文化遺産リストに登録されることは、料理の国際的な認知度を高めるだけでなく、観光産業にも大きな影響を及ぼします。タイ政府は、トムヤムクンをはじめとするタイ料理の魅力をさらに発信し、観光客の誘致に繋げる考えです。タイ料理はすでに世界中に広まっていますが、無形文化遺産登録を機に、さらに多くの人々がその魅力に触れることになるでしょう。

タイのペートンタン首相も、「トムヤムクンはタイのソフトパワーの一部だ」と述べ、世界中のタイ料理店でトムヤムクンを試してもらいたいという期待を表明しています。料理は国境を越えて人々を結びつける力を持ち、タイの文化を世界に広める上で重要な役割を果たしています。

世界三大スープの一角としてのトムヤムクン

トムヤムクンは、世界三大スープの一つとしても知られています。その他の二つのスープは、中華料理の「酸辣湯」とフランス料理の「ブイヤベース」です。これらのスープは、それぞれ異なる文化背景を持ちながらも、共通して深い味わいと伝統を誇っています。トムヤムクンは、日本でもその人気が高まり、多くのタイ料理店で提供されています。さまざまな国でトムヤムクンが愛される背景には、その独特の風味と健康にも良いとされる栄養価があるでしょう。

タイ料理の世界的な広がりは、タイの文化的影響力を高め、国際社会においてもその存在感を示すものです。トムヤムクンが無形文化遺産に登録されたことで、さらに多くの人々がこの料理を通じてタイの豊かな文化に触れる機会を得るでしょう。次にタイ料理を楽しむ際には、スプーン一杯のトムヤムクンに込められた歴史と文化を感じながら味わってみてはいかがでしょうか。

[佐藤 健一]

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