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2024年12月06日 17時30分

ユニクロ発言炎上!アパレル業界の未来を映す鏡

ユニクロを巡る炎上発言、国際アパレル業界の将来を映す鏡

ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長が、英BBCのインタビューで「新疆ウイグル自治区の綿花を使っていない」と発言したことで、中国国内で大炎上が巻き起こりました。この「ひと言」は、単なる経済ニュースにとどまらず、国際的な政治問題、特に中国と西側諸国との微妙な関係の中でどのように企業が立ち回るかを示しています。この事例は、アパレル業界の将来を考える上で重要な教訓となり得ます。

中国市場におけるユニクロの足跡と挑戦

ユニクロは2002年に上海に進出し、2008年には北京に三店舗を連続オープンさせるなど、中国市場での存在感を着実に高めてきました。特に、ヒートテックの登場は中国で大きな話題を呼び、「人民解放軍もヒートテックを着始めてから冬場でも強くなった」という都市伝説すら生まれたほどです。しかし、今回の発言により、ユニクロの中国での立場が揺らいでいます。中国国内でのユニクロの店舗数は1000を超え、売上高に占める中華圏の割合も2割を超えているため、業績への影響は避けられないでしょう。

新疆綿の問題と国際社会の反応

新疆ウイグル自治区での強制労働疑惑は、国際社会での大きな関心事となっています。アメリカ政府は2021年から同地域で生産された綿製品の輸入を禁止しており、企業はこの背景に適応しなければなりません。柳井会長の発言に対し、新疆ウイグル自治区綿花協会は「断じて容認できない」と声明を発表し、現地の雇用機会をもたらしていると主張しました。この声明は、中国政府の姿勢を反映したものであり、企業がどのようにして国際的な圧力と現地の期待を調整するかという課題を浮き彫りにしています。

日系企業の中国進出、リスクとチャンス

現在、多くの日系企業が中国への投資を控えている中、ユニクロは「鮭の川上り」のように中国市場に挑み続けています。ただし、中国ビジネスには「4つのリスク」が潜んでいると言われています。商品や広告の「ミス」による炎上、中国経済の悪化による売上減、日中関係の悪化に巻き込まれるリスク、そして米中関係の悪化に巻き込まれるリスクです。ユニクロは、これらすべてに直面する可能性があります。

ニトリやサイゼリヤは中国での店舗を増やし続け、経済の悪化を逆手に取って成長を続けています。特にニトリは、経済が悪化する中で成長するノウハウを持っていると自負し、出店を急いでいます。サイゼリヤも同様に、中国での売上を増やし続けています。しかし、これらの企業もまた、上記のリスクを無視することはできません。

グローバルアパレル業界の未来を考える

ユニクロの事例は、グローバルアパレル業界全体が直面する課題を映し出しています。国際的な規制や人権問題に対応しながら、市場拡大を図るという難しいバランスを取る必要があります。ジェフリーズのアナリストは、「新疆綿の撤退を巡る貿易戦争は2025年に激化する」と予測しており、これからも企業は新疆綿を使用しないように指導される可能性があります。

一方で、中国市場は依然として魅力的です。人口14億人を超える巨大な市場である中国は、日系企業にとって成長のチャンスを提供しています。だが、その市場を狙う上で、政治的なリスクや倫理的な課題を無視することはできません。企業は慎重に計画を立て、進出を図る必要があります。

[高橋 悠真]

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