富士通「QUADERNO」レビュー:カラーモデルでデジタルノートの未来を切り拓く!
カラフルな未来への一歩:富士通の新型電子ペーパー「QUADERNO」レビュー
近年のデジタル化の波に乗り、紙の世界もまた新たな進化を遂げています。富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、手書き対応の電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」にカラーモデルを追加し、紙の感触をデジタルで再現する試みに新たな彩りを加えました。今回は、この新しいカラーモデルを深掘りし、電子書籍ユースを中心にその使い勝手を探っていきます。
カラーE Inkの可能性と限界
まず、QUADERNOの最大の新機能であるカラーE Inkについて見てみましょう。新モデルでは、A4とA5の2サイズ展開で、カラー表示が可能になりました。これは、デジタルノートとしての表現力を格段に向上させるもので、特にビジュアルが重要な資料やプレゼンテーションではその真価を発揮します。しかし、カラーE Inkの現状はまだ発展途上と言え、彩度が低いことが課題です。これは、カラフルな雑誌や写真を閲覧する際に特に顕著で、iPad Proのような有機ELディスプレイと比べると鮮やかさで劣ります。
また、フロントライトが非搭載であることも影響し、全体的に画面が暗く見えることが多々あります。これは、同じカラーE Inkを採用している他社製品と比較しても不利な点であり、今後の改善が期待されます。
使いやすさの進化とその裏側
QUADERNOはその薄さと軽さでユーザーの負担を軽減することに成功しています。13.3インチA4モデルの重量は368gと、同サイズのiPad Proよりも約200g軽いのです。この軽さは、長時間の利用や持ち運びにおいて大きな利点です。さらに、独自の薄型デザインが採用されており、バッグの中にすっぽりと収まり、書類と一緒に持ち歩くことができます。
セットアップも非常にシンプルで、スタイラスのキャリブレーションのみで使用開始が可能です。しかし、PDFの転送にはやや手間がかかります。PCからPDFを転送する際には、専用アプリのインストールとUSBケーブルでの有線接続が必要です。これは、デジタル世代においては少々時代遅れな印象を与えるかもしれません。一方で、スマートフォンからの転送はNFCを活用しており、こちらは直感的でスムーズな操作が可能です。
ノート機能と価格設定の魅力
QUADERNOのメイン機能であるノート機能も見逃せません。書き心地は本物の紙に近く、スタイラスでの手書きメモは快適です。ペン先の種類や太さ、色分けも自由に選べるため、手書きメモとしての機能は十分と言えるでしょう。カラー表示の恩恵で、ペンの色がそのまま画面に反映されるのは大きな進化です。しかし、カラーの解像度が低いため、細かい文字を書く際にはモノクロを利用したほうが良いでしょう。
価格設定についても触れておくべきです。A4モデルが7万9,800円、A5モデルが5万9,800円というのは、同種のデジタルデバイスと比較しても競争力のある価格です。特に、iPadなどの高価格化が進んでいる中で、QUADERNOのこの価格設定はユーザーにとって魅力的に映るはずです。
[佐藤 健一]