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2024年11月24日 22時19分

三上博史が再び挑む『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』と寺山修司の影響

三上博史と寺山修司の遺産:舞台芸術における自由と挑戦

日本の舞台芸術界の中で、三上博史の名は長年にわたって光り輝いている。彼の俳優としてのキャリアは、数々の映画やテレビドラマでの活躍を通じて、多くの観客に感動を与えてきた。しかし、そのキャリアの転機となったのは、舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』との出会いであった。三上はこの作品において、性別適合手術を受けたロックシンガー、ヘドウィグという複雑なキャラクターを演じ、その深みと情熱を表現した。

一方で、三上の舞台への情熱を再燃させたのは、寺山修司の影響だった。寺山修司は、日本の演劇界における革新的な存在であり、その作品は多くのクリエイターに影響を与えている。三上が寺山と出会ったのは、彼が「青ひげ公の城」の公演に参加したときだった。この経験を通じて、彼は舞台芸術の自由さと表現の幅広さを再認識し、演劇に対する情熱を取り戻した。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』と三上博史の再出発

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、数々の名曲とともに、愛と自由を求める一人のシンガーの物語を描いた名作である。日本での初演は2004年、その時、三上はヘドウィグを演じ、観客を魅了した。それから20年が経ち、彼は再びこの役に挑むことになった。

今回のライブバージョンでは、20年前の初演メンバーの多くが再集結する。これは単なる再演ではなく、この20年間で培われた経験と感受性を活かし、より深い表現を目指す挑戦でもある。三上は「当時の自分に戻るような気持ちだ」と語り、過去に培った音楽への情熱を再燃させることを決意した。

衛星劇場での舞台プレイバック:過去と現在の融合

衛星劇場では、2024年の公演舞台を特集した「’24年公演舞台プレイバックSP」が放送される。この特集では、三上博史が出演する『三上博史 歌劇』をはじめ、多くの話題作がラインナップされている。これにより、観客は過去の名作を再び楽しむことができるだけでなく、新たな視点で作品を体験する機会を得る。

この特集の中で特筆すべきは、三上博史が出演する『三上博史 歌劇』である。この作品は、三上の俳優としてのルーツである寺山修司の世界を再現し、観客を彼の物語の中心へと誘う。寺山が作り出した役を三上が生きることで、観客は寺山の創造的なエネルギーを肌で感じることができる。

舞台芸術の未来と可能性

三上博史や寺山修司のようなクリエイターによって、日本の舞台芸術は新たな可能性を切り開いてきた。彼らの作品は単なるエンターテインメントにとどまらず、観客に深い感動と考えさせる力を持っている。特に三上が舞台を通じて伝えようとするメッセージは、時代を超えた普遍的なものだ。

これからの舞台芸術は、さらに多様な表現を取り入れ、観客との対話を深めていくことが求められる。舞台は単に物語を伝えるだけでなく、観客の心に問いを投げかける場であるべきだ。三上博史のような俳優の存在は、その可能性を広げる鍵となるだろう。

三上博史が再び舞台に立つことは、日本の舞台芸術に新たな風を吹き込む契機となるだろう。彼の挑戦は、これからの世代の俳優やクリエイターにとっても大きな刺激となり、舞台芸術の未来を形作る礎となるに違いない。

[山本 菜々子]