中国、2025年大阪万博参加表明!国際情勢の裏に潜む思惑とは?
中国、大阪万博への参加表明とその背景に潜む思惑
2024年11月末、北京の人民大会堂で行われた会談で、中国の何立峰副首相が関西財界の訪中団に対し、2025年に開催される大阪・関西万博に政府の代表団を派遣する意向を示した。このニュースは、表面的には日中間の友好と経済交流の一環として捉えられるが、その背後には複雑な国際情勢と中国の戦略的意図が見え隠れしている。
関西財界の訪中団は、住友電気工業の松本正義会長をはじめとする85名のメンバーで構成され、12年ぶりに中国を訪れた。彼らのミッションは、関西と中国の経済交流の促進である。これには、日中両国の経済的な結びつきを強化することが重要だという認識が背景にある。しかし、中国が関西の財界を厚遇した理由は、単なる友好の証ではない。
中国の外交戦略と日米中関係の緊張
中国が関西財界を厚遇した背景には、米中関係の緊迫化がある。米国のトランプ次期大統領が中国からの輸入品に追加関税を課す意向を示す中、中国は日米間の亀裂を利用し、日本を自陣営に引き込みたいと考えている。これは、関西財界との接触を通じて経済的なパートナーシップを強化することで、政治的な影響力を広げようとする戦略だ。
このような背景で、何副首相が「安全と安心は必ず守る」と邦人の安全確保を約束したのも、中国が日本企業の安心感を高め、投資を促進しようとする狙いがある。特に、最近の国際情勢において、安全保障の問題は投資判断に大きな影響を与える要素となっている。中国はその点を理解し、安全性をアピールすることで、日本からの投資を呼び込もうとしている。
関西地域の中国依存とそのリスク
一方で、関西地域は他の日本の地域と比較して、中国に対する経済的依存度が高い状況にある。りそな総合研究所の調査によれば、関西の企業は売上高の18.1%を中国関連の取引から得ており、これは三大都市圏の中で最も高い割合だ。関西企業が中国市場を重視する理由は、単に「世界の工場」としての魅力だけでなく、消費地としての価値を見出しているからである。
しかし、こうした依存は「チャイナリスク」を伴う。中国の景気減速や人件費の上昇、さらには台湾有事の可能性など、リスク要因は多岐にわたる。関西の企業がこのリスクに適時に対応しなければ、地域全体の経済に影響を及ぼす可能性がある。りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員も、関西の企業が「取り残される形となっている」と警鐘を鳴らしている。
経済的協力と文化的交流の二面性
関西財界の訪中団は、経済的な交流だけでなく、文化的な交流も視野に入れている。訪中団は北京市内のホテルで大阪・関西万博のPRイベントを開催し、中国の旅行会社の担当者らを招待した。これは、単に観光促進を狙ったものではなく、日中間の文化的な理解を深めるための一歩である。大阪や京都観光と組み合わせたツアーの売り出しが話題となり、関係者は「文化を通じて経済を活性化する」と意気込んでいる。
このような文化的交流は、経済的な結びつきとは異なる次元での関係を構築するチャンスでもある。経済が政治に左右されやすい現代において、文化は時に政治を超えて人々を結びつける力を持つ。例えば、歌舞伎や茶道、アニメといった日本文化は、中国でも高い人気を誇る。これを経済活動に活かすことができれば、両国の関係はさらに豊かになるだろう。
こうした中で、2025年の大阪・関西万博は、日中関係をポジティブに発展させるための重要な機会となる。経済的な課題やリスクはもちろん存在するが、文化を通じた交流がそれを補完し、新たな地平を切り拓く可能性を秘めている。関西財界の訪中団が受けた厚遇は、その可能性を示す一つの兆しと捉えることができる。
[田中 誠]