元フラメンコダンサー、物流業界でKAIZEN革命!TSK高木亮太の挑戦
元フラメンコダンサーが物流業界に革命を起こす
かつてスペインの舞台で華麗に踊っていたフラメンコダンサーが、今度は物流包装業界で新たな舞台を創り上げている。高木亮太さん、39歳。彼はTSKの4代目として、父親から引き継いだ「KAIZEN」文化を進化させ、事業再構築に挑んでいる。TSKは1939年創業の老舗企業でありながら、常に革新を続けている。その背景には、高木さんの多彩な経歴と、物流業界に対する新しいビジョンがある。
高木さんが子どもの頃、父親の仕事熱心さを間近で見て育ったが、当初は家業を継ぐ気はなかった。彼が選んだのはフラメンコという異色の道だった。しかし、スペインでの挑戦が一区切りついた頃、家業への道を選ぶことになった。彼が選んだのは、「KAIZEN」を通じた事業の革新だった。
KAIZEN文化の進化とその影響
「KAIZEN」とは、日本の製造業で培われた改善活動を指し、特にトヨタの生産方式で有名だ。しかし、TSKの「KAIZEN」は少し異なる。高木さんの父親が導入したこの文化は、従業員が自ら考えて職場をより良くすることを重視している。これは単なる業務効率化を超え、社員のやりがいを創出する文化へと発展した。
このKAIZEN文化の浸透が、TSKを単なる包装会社から「KAIZENカンパニー」へと変貌させている。TSKの社員は、自らの発案で工場内の雑草を花壇に変え、社長賞を受賞したこともある。こうした取り組みが、社内の雰囲気を活性化し、企業の持続的な成長を支えている。
デザイン思考と新たなサービス展開
高木さんはKAIZEN活動にデザイン思考を取り入れ、より創造的な改善を追求している。共感、定義、概念化、試作、テストというプロセスを通じて、顧客の物流課題を解決するアプローチを提案する。この考え方は、TSKが目指す「KAIZENカンパニー」の方向性と一致しており、新サービス「KAIZEN BANSOパック」の立ち上げにも反映されている。
このサービスは、顧客の物流現場の課題を見える化し、効率的な改善策を提案するものだ。例えば、自動車部品メーカーの工場での工具置き場の省スペース化や、作業効率を向上させる台車の導入などが挙げられる。これにより、顧客のコスト削減や業務効率化に寄与している。
国際的な視野と新たな挑戦
TSKは国内外での事業展開を視野に入れ、メキシコへの進出を計画している。包装業界は、紙袋などの需要が減少する中で、事業構造の転換が求められている。高木さんは、TSKを「現場の物流デザイン」を担う企業として、世界に通じる存在にしようと意欲を燃やす。
一方で、物流業界は「2024年問題」とも言われる労働環境改善が求められている。TSKも、デッキラックを用いた積載効率の改善など、具体的な取り組みを進め、業界の課題解決に貢献している。彼の挑戦は、物流業界全体に新たな風を吹き込んでいる。
KAIZENのグローバル展開とその可能性
このような成功事例は、TSKのような中小企業にとっても大いに参考になる。KAIZENが持つ可能性は、業務効率化やコスト削減にとどまらず、企業文化の構築や社員のやる気向上にも寄与する。そのため、TSKのようにKAIZENを核とした事業再構築を進める企業は、今後も増えていくと予想される。
高木さんの挑戦は、単なる事業の再構築にとどまらず、新たな企業文化の創造と国際的な競争力の確立を目指すものだ。彼の舞台は、かつてのフラメンコの舞台を超え、物流業界の未来を形作るものとなるだろう。彼が描くビジョンは、社員とともに作り上げる創造的な空間であり、それはきっと多くの人々に影響を与えるに違いない。
[伊藤 彩花]