「スペースワン」が宇宙宅配便に挑む!カイロス2号機打ち上げで新たな夜明け
小型ロケット市場に新風を吹き込むスペースワンの挑戦
和歌山県串本町の空に、新たな希望が打ち上げられる。宇宙ベンチャー「スペースワン」が、小型ロケット「カイロス」2号機の打ち上げに挑むのだ。目指すは「宇宙宅配便」ビジネスへの参入。これは、まるで地球から宇宙へのショッピングカートを押し出すような壮大な計画である。2020年代中に年間20機、30年代初めには年間30機を打ち上げるという野望を掲げたこの計画は、果たして実現可能なのだろうか?
宇宙ビジネスの新たな夜明け
スペースワンのこの取り組みは、宇宙ビジネスにおける新しい夜明けを象徴している。東京大学の中須賀真一教授は、「契約して打ち上げまで2年待つのはビジネスとして遅れる。短期間で打ち上げるメリットは大きい」と指摘する。実際、同社は自社専用の発射場を串本町に整備し、いつでも打ち上げ可能な柔軟性を確保した。
しかし、固体燃料ロケットは液体燃料ロケットよりも打ち上げ時の振動が大きく、搭載される衛星には負荷がかかる。これが技術的なハードルとなりうるが、スペースワンはその利便性でニーズを得られると自信を持つ。
また、スペースワンは省エネにも配慮しており、管制手順の自動化や、ロケットが自身の飛行を監視し異常があれば自爆するシステムを日本で初めて導入。さらに、打ち上げを少人数で実施するなどの効率化も図っている。
競争激化する小型ロケット市場
小型ロケット市場は、今や世界中の100社近いベンチャーがその開発にしのぎを削る競争の場である。しかし、実際にビジネスとして成功しているのは、アメリカのロケットラボのみだ。スペースワンの豊田正和社長は「ロケットラボに追いつけ追い越せの気持ちでやっている」と意気込む。確かに、2番手以降の空白はチャンスでもある。
日本国内では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主導する「みちびき」6号機の打ち上げが控えている。JAXAのH3ロケット5号機による打ち上げは、2025年2月1日に予定されており、日本の衛星測位システムの強化を目指す。この「みちびき」は、アメリカのGPSと互換性を持ち、さらに自国独自の測位能力を高める重要なプロジェクトである。今後、7機体制での運用を目指し、さらなる進化を見据えている。
スペースワンとJAXAの取り組みは、日本の宇宙ビジネスの未来に大きな影響を与えることが予想される。小型ロケット市場における日本のプレゼンスを高め、国内外の企業や政府機関との協力を通じて、新たな成長の可能性を模索し続けるだろう。
空に浮かぶ星々のように、スペースワンの挑戦は無限の可能性を秘めている。彼らが掲げる壮大なビジョンは、まさに宇宙の彼方を目指すロケットのように、私たちの想像を超える未来を切り開こうとしている。
[田中 誠]