科学
2024年12月15日 17時20分

新技術で燃料電池が進化!環境問題解決への一歩

新しい燃料電池技術の一歩、そして環境への配慮

この進歩は、電解質膜にホスホン酸基を使用することで達成された。ホスホン酸基は親水性が高く、水素イオンの伝導を促進するが、そのままで高分子の主鎖に付けると水に溶けやすくなるため、疎水性の側鎖を設けることでその課題を解決した。これにより、電解質膜全体の疎水性を維持しつつ、ホスホン酸基が自由に動くことで伝導性が向上したのだ。

PFASとマイクロプラスチックの最恐タッグ

一方、環境における化学物質の影響に関する研究では、マイクロプラスチックとPFASが多くの問題を引き起こしている。バーミンガム大学の研究チームは、これらが結びつくことで、単独の場合よりも有毒になることを示した。特に、PFOSとPFOAといったPFASが、マイクロプラスチックと結合すると、ミジンコの発育を阻害するなどの生態系への深刻な影響が確認された。このことは、環境中での化学物質の混合による影響を無視できないことを示唆している。

マイクロプラスチックは、日常生活の中で広く使われる製品に含まれており、その影響は人体の健康にも及ぶ可能性がある。PFASは、防水や耐熱製品に使用され、がんや腎臓疾患などの健康問題との関連が指摘されている。これらの物質が複合的に作用することで、さらに深刻な健康リスクを引き起こす可能性があることが、今回の研究で明らかになった。

循環する化学物質のジレンマ

さらに、イリノイ大学の研究では、マイクロプラスチックとPFASが下水処理場と埋め立て地を行き来する「エンドレスループ」が確認された。下水処理場で取り除かれたこれらの物質は、バイオソリッドとして有機肥料に姿を変え、再び環境に放出される。これは、土壌や水系、そして人間の体内にまで影響を及ぼす可能性がある。

この問題の根本には、プラスチックとPFASの使用そのものがある。科学者たちは、これらの化学物質を含む製品の使用をやめるよう呼びかけているが、実際のところ、それを実現するには大きな困難が伴う。農地にまき散らされる有機肥料からの流出や、埋め立て地に戻されるバイオソリッドが繰り返し環境に影響を与える現状では、ただのループに過ぎない。

この問題に対処するためには、化学物質の使用を減らし、より持続可能な製品設計を進める必要がある。名古屋大学の研究が示すように、フッ素を使わずに高性能を実現する技術革新が、その一歩となるかもしれない。環境への配慮と技術革新が共存する未来を目指し、科学者たちの取り組みは続いている。

[伊藤 彩花]

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