GMOあおぞらネット銀行、企業メインバンクで急成長
ネット銀行の急成長を牽引するGMOあおぞらネット銀行、その強みと課題
GMOあおぞらネット銀行が、メインバンクとして選ばれる企業数の増加率でトップに立ちました。「2024年企業のメインバンク調査」によれば、同銀行は2023年の500社未満から2024年には890社に増加し、実に118.6%という急成長を遂げています。この現象は、ネット銀行が中小企業の間で急速に勢力を拡大していることを示す一例であり、特に首都圏や新設法人においてその影響力を増しています。
GMOあおぞらネット銀行は、2018年にインターネット専業銀行として発足しました。スタートアップ企業や小規模事業者に対する手数料の優遇措置や迅速な口座開設が人気の要因となっています。特に設立1年未満の企業に対しては、他行への振込手数料が月20回まで無料というサービスを提供しており、このスピード感が新興企業からの支持を集めているようです。
ネット銀行の戦略的優位性
GMOあおぞらネット銀行の強みは、何と言ってもその戦略的なサービス展開にあります。東京商工リサーチのデータによれば、同銀行をメインとする890社のうち、約45.6%が東京都に本社を置いています。さらに、業歴3年未満の企業が約68.5%を占めることからも、新興企業からの人気が高いことがうかがえます。これは、ネット銀行のサービスが、設立間もない企業のニーズを的確に捉えている証拠とも言えるでしょう。
このような成長を支えるのは、24時間対応のサービスや低廉な振込手数料、迅速な融資といった、従来の金融機関にはない利便性です。特に、他のネット銀行と同様にAIを活用した融資サービスを導入し、スタートアップ企業や新興企業への資金提供を迅速に行う能力は、ネット銀行の競争力を高める要因となっています。
ネット銀行経済圏の拡大と楽天銀行の影響力
中小企業におけるネット銀行の利用が拡大する中で、楽天銀行がその中心的な存在となっています。楽天銀行は1368社のメイン取引社数を持ち、ネット銀行全体のシェア0.09%を占めています。続くPayPay銀行、住信SBIネット銀行、そしてGMOあおぞらネット銀行といった主要なネット銀行が、この新しい「ネット銀行経済圏」を形成しつつあります。
この経済圏の拡大には、コロナ禍による対面営業の自粛も影響しています。法人でもネットバンキングの利用が増え、2023年にはネット銀行と取引を行う企業が1万社を突破しました。これは、企業がデジタル化を進める中で、ネット銀行がその重要なパートナーとしての地位を確立し始めていることを示しています。
GMOあおぞらネット銀行における課題と今後の展望
ネット銀行の成長は目覚ましいものがありますが、それだけに留まらず、システムの安定性や顧客サービスの向上が求められます。特に中小企業や新興企業にとっては、信頼できる金融パートナーの存在が重要であり、GMOあおぞらネット銀行はその期待に応える必要があります。
[鈴木 美咲]