大谷翔平が「盗打随一」に!創作四字熟語で時代を映し出す
「盗打随一」と大谷翔平:創作四字熟語とその時代を映す鏡
住友生命保険が毎年発表する創作四字熟語は、その年の出来事や世相を反映するユニークな表現として、多くの人々に親しまれています。2024年の最優秀作品には「盗打随一(とうだずいいち)」が選ばれました。この四字熟語は、メジャーリーグで前人未到の「50-50」を達成し、ワールドシリーズ優勝を果たした大谷翔平選手の偉業を称えるもので、彼の類い希な才能を象徴する表現として見事にその役割を果たしています。
大谷翔平、野球界の「盗打随一」
大谷翔平選手が達成した「50-50」とは、シーズン中に50本以上のホームランと50以上の盗塁を記録することを意味します。これは野球史上初の快挙であり、彼のパフォーマンスはまさに「当代随一」と称されるにふさわしいものです。審査員の歌人・俵万智さんも、「音の面では1字の違い、意味の面でもピッタリで、シンプルながら技あり」と評価しています。彼の活躍が新たな言葉遊びを生み出したことは、言葉の力を再認識させてくれます。
しかし、単に成績だけではなく、その存在感もまた「盗打随一」と言えるでしょう。大谷選手は野球界の枠を超え、スポーツ全般において影響力を持つ存在になりつつあります。彼の活躍は、国際的なスポーツ界における日本の存在感を高める役割を果たしているのです。
四字熟語で映し出す社会の光と影
今年の創作四字熟語には、「盗打随一」の他にも、社会的・経済的な出来事を反映した作品が数多く選ばれました。「店店枯米(てんてんこまい)」は、米の品不足と価格高騰を象徴し、消費者が右往左往する様子を見事に描写しています。この四字熟語は、食料価格の変動が人々の日常生活に与える影響を端的に示しており、経済の不安定さを反映しています。
また、「無言退職(むごんたいしょく)」は、退職代行サービスの利用が増加している現代の労働環境を象徴しています。新入社員が入社早々に退職するケースが増加していることを背景に、労働市場の流動性が高まっていることを示しています。これは、若者がより自由に働き方を選ぶ時代になったことを示す一方で、職場環境の改善が求められることへの警鐘とも言えるでしょう。
「今年の漢字」に見る日本の現状
2024年の「今年の漢字」は「金」に選ばれました。これは、パリオリンピックでの日本選手の活躍や、大谷選手の50-50達成に対する称賛を反映しています。「金」が選ばれた理由には、光の側面としての「金(キン)」と、影の側面としての「金(かね)」があります。光の「金」は、スポーツにおける輝かしい成果を讃えるものであり、影の「金」は、政治とカネ、裏金問題、物価高騰といった社会の課題をも浮き彫りにしています。
「金」が今年の漢字に選ばれたのは5回目であり、オリンピックイヤーの華やかさと、経済的な不安定さが同居する年にふさわしい選択と言えるでしょう。日本が直面する課題と喜びを一文字で表現するこの試みは、まさに時代を象徴するものです。
四字熟語の力で時代を読む
四字熟語は、短い言葉で深い意味を伝える力を持っています。それはただの言葉遊びにとどまらず、社会の現実を鋭く切り取り、私たちに新たな視点を提示します。「盗打随一」のような四字熟語は、大谷翔平選手のような個人の偉業を称えるだけでなく、私たちがどのように時代を捉え、どのように未来を見据えていくべきかを考えさせてくれるのです。
日本の四字熟語文化は、私たちが社会の出来事をどのように感じ、どのように言葉にするかを学び直す貴重な機会となります。そして、これらの熟語が持つ意味を理解することで、私たちは自らの生活と社会の在り方をより深く考えることができるのではないでしょうか。四字熟語が持つ力を通じて、私たちはこれからも時代の流れを読み取り続けることでしょう。
[松本 亮太]