西山朋佳女流三冠、女性初のプロ棋士へあと1勝!
歴史を塗り替える一手:西山朋佳女流三冠、女性初のプロ棋士へ
将棋界の新たな歴史を描くべく、29歳の西山朋佳女流三冠がついにその手を動かしました。彼女が目指すのは、女性初のプロ棋士としての栄誉です。1月の決戦に向け、西山は日本将棋界の垣根を一歩一歩と越えていこうとしています。
大阪府高槻市にある関西将棋会館で行われたプロ棋士編入試験第4局では、西山が宮嶋健太四段(25)に勝利し、試験の通算成績を2勝2敗に戻しました。あと1勝すれば、彼女は夢の実現に手が届くことになります。試験は新人棋士5人と対局し、3勝すればプロの四段となるというもので、来年1月には柵木幹太四段(26)との最終戦が控えています。
女性棋士への道:挑戦とその背景
将棋の世界では、棋士と女流棋士という2つの制度が存在します。棋士になるためには、日本将棋連盟の養成機関である奨励会を卒業するか、編入試験に合格する必要があります。西山は奨励会の最高位である三段まで進んでいましたが、2021年に退会し、女流棋士としての道を選びました。
今回の試験は、現行制度では女性として2人目の挑戦となります。2022年には福間香奈女流五冠が受験し不合格となりましたが、西山は7月に「10勝以上かつ勝率6割5分以上」という厳しい受験基準を満たしました。彼女の戦績は、女性がプロ棋士を目指すという夢を現実のものにする可能性を秘めています。
試練と成長:西山の戦い
西山が第4局で見せた戦いぶりは、彼女の得意とする振り飛車戦法を駆使したものでした。7筋に飛車を振り、「三間飛車」で2勝目を狙いました。中盤のねじり合いから終盤へと進むにつれ、彼女は慎重に手を進め、最終盤の寄せ合いを制しました。将棋の盤上では、まさに一手一手が命運を分ける戦場です。
「とにかく悔いのない形で指せれば」と覚悟を持って臨んだ一戦は、彼女自身の成長を感じさせるものでした。西山は対局後、「形勢は難解かなと思っていた。対応を誤ってしまい、その後は少し悲観していました」と冷静に振り返りました。それでも勝利を収めた彼女の言葉には、次の一局への強い意志が漂います。
来年1月へ:運命の第5局
来年1月に控える柵木幹太四段との最終戦は、西山にとってまさに「泣いても笑っても最後」の一戦となります。彼女は「大一番、泣いても笑っても最後という形で、本局も要所でいい手が指せなかったところがある。しっかり反省して、最後、悔いのないように挑みたい」と意気込みを語りました。
将棋という静かな戦場で繰り広げられる熱い闘い。西山朋佳女流三冠が刻む一手一手は、将棋界の未来をも変える可能性を秘めています。来年1月、彼女の勇姿がどのように映し出されるのか、期待と緊張が高まるばかりです。彼女の挑戦が新たなページを開くことを、誰もが心待ちにしています。
[佐藤 健一]