嶋田隆氏再登板:経産省のキーマンが再び前線に登場
嶋田隆の再登板:経産省のキーマン、再び前線へ
嶋田氏は、2011年に設立された原賠機構の立ち上げにも関与し、経産省の中でも非常に重要な役割を果たしてきた。特に、東電再生に向けた損害賠償と廃炉支援、柏崎刈羽原発の再稼働という三条件を実現可能な人物として、経産省の関係者からは「唯一無二の人材」と評されている。そのため、多くの民間企業が彼を顧問として迎え入れたいと考えているが、彼が選んだのは政府関連のポジションだった。
“103万円の壁”と岸田氏の新たな動き
嶋田氏の再登板という話題の陰で、もう一つの重要な動きが進行中だ。かつての同僚である岸田文雄前首相が、新たに議連を立ち上げ、資産運用立国としてのiDeCo改革に取り組んでいる。岸田氏は、政権が「103万円の壁」にかかり切りになっている中、再び政治の舞台でその存在感を示そうとしている。この動きには、岸田氏の「再登板」を目論む意図が透けて見える。
「103万円の壁」は、少数与党となった石破茂政権にとって、税収減を招く可能性のある重要な課題だ。国民民主党の看板政策であるこの問題に対し、財務省や厚労省は慎重に対応している。特に財務省は、税制と年金制度の両面での見直しに関しては消極的だ。霞が関からは、「岸田氏が仕掛ける政争の具になるのは望ましくない」との声も聞かれる。
“103万円の壁”を巡る政官の攻防
この「103万円の壁」を巡る攻防は、まるで緊迫したチェスゲームのような複雑さを見せている。国民民主党の玉木雄一郎代表は、この問題に切り込み、税制という「聖域」に踏み込んでいる。彼の妻も元財務省職員であり、その影響力の強さが伺える。玉木氏の動きに対して、財務省の同期入省組が立ちはだかり、攻防を繰り広げている。
特に、同期の植松利夫主税局審議官は、税と社会保障を一体で検討するべきだという信念を持ち、玉木氏の攻勢に対抗している。しかし、「年収の壁」がこれほどの争点になるとは考えていなかったため、事態の打開に苦慮している。主計局には、同期のエースである吉野維一郎次長が控えており、減税の財源をどのように確保するかが課題となっている。
[伊藤 彩花]