トルドー政権の試練:副首相辞任とカナダ経済の不安定化
トルドー政権の岐路:副首相の辞任とカナダ国内の波紋
トランプ関税とカナダの試練
トランプ次期大統領は、カナダが不法移民対策を講じなければ25%の関税を課すと警告しており、この政策がカナダの経済に与える影響は甚大だ。カナダの輸出の75%以上がアメリカ向けであり、200万人近くが貿易業に従事しているため、関税の引き上げはカナダ経済に直撃する可能性がある。まさにカナダ経済にとっては「雲の上から降ってきた嵐」と言えるだろう。
トルドー首相とクリスティア・フリーランド副首相兼財務相の意見対立は、この関税政策を巡るもので、フリーランド氏が辞任するに至った。フリーランド氏は、トランプ氏の関税政策に備え、カナダの財政支出を抑制し、資金を温存する必要性を訴えていた。これに対し、トルドー氏は減税案や支出措置を打ち出す方針を貫こうとしたため、両者の間に亀裂が生じた。
自由党内の動きとトルドー首相の反応
トルドー首相は、フリーランド氏の辞任を受け、自由党内での支持率低迷に直面している。自由党の中では、長年にわたりトルドー氏を支持してきた勢力が、彼に対する支持を見直す動きがある。イバン・ベーカー議員やフランシス・ドルーアン議員など、一部の議員は、党の刷新と新しい指導者への移行を求める声を上げている。
トルドー氏は、自由党議員との緊急会談を通じて、彼らの意見に耳を傾け、反省する姿勢を示している。側近によれば、トルドー氏は議員たちの懸念を真摯に受け止め、今後の方針を再考する意向を示しているという。しかし、党内の不満が続く限り、彼が首相の座にとどまるのは難しいかもしれない。
トランプ氏の挑発と国際関係の影響
一方で、トランプ次期大統領は、SNS上でカナダを「州」、トルドー首相を「知事」と呼ぶなど、挑発的な言動を繰り返している。このような発言は、カナダの国民感情を刺激し、反米感情を高める可能性がある。トランプ氏が日本の石破総理大臣に対して敬意を示す一方で、カナダに対しては軽蔑的な態度を取る姿勢は、国際政治における微妙な力関係を浮き彫りにしている。
現在、カナダ国内では、国際貿易の不安定さが経済に与える影響を懸念する声が高まっている。特に、トランプ政権下での米加関係がどのように展開するかは、カナダの経済政策にとって重要な課題となる。
今後の展望とカナダの行方
[佐藤 健一]