経済
2024年12月19日 12時40分

東京株式市場、日米経済政策の行方で続落、700円超の下げも

東京株式市場、続落の一因は日米経済政策の行方

東京株式市場で19日、日経平均株価は続落し、一時700円以上の大幅な下げを見せました。前場の終値は前日比373円33銭安の3万8708円38銭、TOPIXは13.34ポイント安の2706.53を記録しました。この下落は、米国市場の下落に追随したものであり、東京市場でも売りが広がりました。日米の経済政策、特に利上げの行方が市場の不安を駆り立てているようです。

日銀の利上げ見送り、その裏にある複雑な判断

日本銀行は19日、金融政策決定会合を開き、政策金利の据え置きを決定しました。この背景には、2025年の春闘における賃上げ動向や、2025年1月に就任する米国のトランプ次期大統領の経済政策が、日本経済や物価情勢にどう影響を与えるかを慎重に見極める必要があるとの判断があるようです。日銀は過去25年間の金融緩和策を検証する「多角的レビュー」も公表し、植田総裁が会見でその内容を説明する予定です。

「これだけ株が崩れていると利上げに踏み切りにくい」との声が市場関係者から聞かれる中、円安が進行している現状では、日銀の政策判断がより難しいものとなっています。現在の円相場は1ドル=154円56銭で、これは日銀にとって利上げを検討する材料の一つですが、株価の下落が利上げを阻む要因となっています。

市場の不安定さと日銀のジレンマ

日銀は過去に、株式市場が歴史的な荒れ模様となった際、「不安定な状況のなか利上げすることはない」との立場を明確にしています。今回もその方針を堅持し、利上げ見送りの見方が強まっています。しかし、内部では「利上げを妨げる逆風はない」との意見もあり、経済指標が改善していることを考慮に入れた場合、日銀の判断は一層慎重にならざるを得ません。

不確実な未来への備えとしての市場の動き

東京市場では57%の銘柄が値下がりし、39%が値上がりという、まさに「狼狽売り」が一巡した後の混乱状態です。電気・ガス業、非鉄金属、不動産業といった業種が大きく値を下げる一方で、海運業、その他製品、倉庫・運輸関連業が上昇しました。これは、日米の経済政策がもたらす不確実性に対する市場の反応と見ることができます。

市場の関心は、来年の賃上げと、米国の新政権の経済政策がどのような影響をもたらすかに注がれています。この不確実性の中で、投資家はリスクを避けるために売りを優先する一方で、ポートフォリオの再構築を進めています。これにより、株式市場はまるで迷子の羊が草原を彷徨うかのように、方向感を失った状態にあります。

[伊藤 彩花]

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