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2024年11月25日 03時15分

楽天モバイル、最強感謝祭で顧客獲得へ:成長戦略と設備投資のバランスを追求

### 楽天モバイルの戦略:顧客獲得と設備投資のバランスを追求

楽天モバイルは、12月2日から「楽天モバイル最強感謝祭」を実施し、楽天グループの30以上のサービスで特別オファーを提供する。この戦略は、顧客基盤の拡大と同時に、楽天エコシステム全体の利用促進を狙ったものだ。楽天市場の20%オフクーポンやサーティワンアイスクリームのデジタルギフト、スマートフォンなどの豪華景品が当たるスタンプカードへの参加機会など、多岐にわたる特典が用意されている。このようなキャンペーンは、楽天モバイルが通信業界の競争激化に対抗し、顧客を引き付けるための重要な一環である。

楽天モバイルはまた、ブラックフライデーセールにおいても、回線契約者に楽天市場でのポイント還元を最大+9倍とするキャンペーンを打ち出している。このような大規模なポイント還元キャンペーンは、顧客の購買意欲を刺激し、楽天市場の利用促進を図るものだ。特に、iPhone購入者に対してもポイント還元を行うことで、最新のスマートフォンを手に入れたいと考えるユーザー層へのアプローチも強化している。

### 通信業界の投資動向と楽天モバイルの位置付け

一方、通信業界全体では、2024年度上期の設備投資において明暗が分かれている。NTTドコモグループなどの進捗が鈍化する中、楽天モバイルは他キャリアと比較して進捗率が比較的高い。しかし、この背景には投資の集中する時期が異なることも影響しているため、単純に進捗率だけで評価するのは難しい。

楽天モバイルは、2024年度の通期計画において設備投資の大幅縮小を予定している。約800億円の縮小は、通信インフラの整備に対する慎重な姿勢を示すものであるが、同時に、既存インフラの効率的な利用やコスト削減を重視しているとも解釈できる。このような投資戦略の調整は、楽天モバイルが競争力を維持しながら、収益性を高めるための取り組みの一環である。

### 顧客体験と収益性の両立を目指す楽天モバイル

楽天モバイルのキャンペーンは、単なる顧客獲得手段にとどまらず、楽天グループ全体のサービス利用を促進するシナジー効果を狙っている。このようなポイント還元やクーポン提供は、短期的な売上増だけでなく、長期的な顧客ロイヤルティの向上にも寄与する可能性がある。

しかし、楽天モバイルが設備投資を縮小する中で、顧客体験の質をどのように維持・向上させるかは、今後の課題と言える。特に、通信品質やカスタマーサービスの充実は、他の大手キャリアとの競争において重要な要素となる。そのため、楽天モバイルは、デジタル技術を活用した効率的なオペレーションや、顧客ニーズに応じた柔軟なサービス提供を進める必要がある。

### 今後の展望:楽天モバイルの成長戦略

楽天モバイルは、通信業界の中で独自のポジションを確立するために、顧客獲得戦略と投資のバランスを取りながら成長を続けている。特に、楽天グループの広範なエコシステムを活用したシナジー効果を最大化することが、今後の成長において重要な鍵となるだろう。

さらに、デジタル技術の進化に伴い、楽天モバイルは新たなサービス開発や市場開拓を進めていくことが予想される。例えば、5G通信の普及に伴う新たなビジネスモデルの創出や、IoT(モノのインターネット)を活用した新サービスの展開など、革新的な取り組みが期待される。

楽天モバイルの今後の動向は、通信業界全体の変革を促す可能性があり、その成長戦略がどのように実現されていくかは、業界関係者のみならず、消費者にとっても注目すべきポイントである。

[山本 菜々子]