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2024年12月20日 11時31分

水川かたまり初主演映画『死に損なった男』、幽霊との奇妙な共生が話題に

水川かたまり初主演の映画『死に損なった男』予告編が話題に

奇想天外なプロットの背後にある深層

本作の主人公である関谷一平は、ある日突然、幽霊の森口友宏に出会います。友宏は事故で命を落とし、娘に付き纏う元夫を殺してほしいと頼む幽霊です。幽霊に取り憑かれるというのは、ホラー映画ではお馴染みのテーマですが、本作はそれをコメディタッチで描くというのがユニークです。一平が友宏に脅迫され、幽霊の依頼を受けるという展開は、まるで人生の中で避けられないトラブルに巻き込まれるようなもの。観客は、この設定に自分の人生の困難を重ね合わせることができるかもしれません。

映画の監督を務める田中征爾は、これまでに長編映画『メランコリック』で国内外の映画祭で高い評価を得ており、今回の作品でもその独自の視点が光ります。彼の作品は、常に予測できない展開と人間味あふれるキャラクターで観客を引き込みます。『死に損なった男』もその例外ではなく、幽霊とのコミカルなやり取りを通じて、人生の不条理さを笑いに変える手腕が期待されます。

幽霊との奇妙な共生が生み出す笑いと成長

予告編からは、関谷一平が幽霊の友宏に脅迫されつつも、彼からのネタ作りのアドバイスを受けてコントを成功させるシーンが垣間見えます。一平は、当初は嫌々ながらも、次第に友宏の存在を受け入れ、彼の助言が自身のキャリアにプラスの影響を与えることに気づきます。ここには、人生の予期しない出来事が、時には新たな可能性を開くことがあるというメッセージが込められているのかもしれません。

また、幽霊である友宏との関係は、単なる脅迫者と被脅迫者の関係を超えて、互いに助け合う奇妙な共生関係へと発展していきます。この関係性の中で、一平は自分自身を見つめ直し、成長していく姿が描かれます。幽霊という非現実的な存在が、逆に一平に現実を見つめさせるという皮肉な対比は、観客に深い印象を与えるでしょう。

社会の裏側を反映するキャラクターたち

映画には、他にも個性的なキャラクターが登場します。友宏の娘である綾や、彼女に執拗に付きまとう元夫の若松など、それぞれが現代社会の一面を映し出しています。綾のキャラクターは、父親を失った悲劇の側面を持ちながらも、明るく前向きに生きる姿が描かれ、観客に共感を呼び起こすでしょう。

さらに、劇中でコントを披露するお笑いコンビのマルセイユや、インパルスの板倉俊之が監修したコントシーンは、映画の中での癒しポイントになっています。笑いと涙が交錯する場面が続く中で、こうした軽妙なシーンは、観客の心をほぐしてくれることでしょう。

予想を超える展開に期待が膨らむ

『死に損なった男』は、幽霊の脅迫から始まる予測不能な展開が魅力の一つです。幽霊からの依頼を受けた一平が、果たしてどのような結末を迎えるのか、観客の期待は高まるばかりです。それはまるで、人生という名の映画を観るような感覚にさせられます。時には予想もしない展開が待ち受けていることもあるでしょうが、それをどう楽しむかは、私たち次第です。

水川かたまりの初主演作『死に損なった男』は、幽霊との奇妙な共生を通じて、観客に人生の多様性と予測不可能性を思い起こさせる作品になりそうです。この映画がどのような物語を紡ぐのか、公開が待ち遠しい限りです。

[田中 誠]

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