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2024年12月20日 12時41分

年収の壁引き上げ、123万円案の影響と批判の声

年収の壁引き上げ:「123万円」案の影響とその背景

「年収の壁」とは?

まず、「年収の壁」とは何かを確認しておきましょう。これは、所得税や社会保険料の控除が行われる基準金額のことを指します。現在、103万円がこの壁とされ、これを超えると様々な税や保険料が増加するため、パートタイマーや非正規労働者がこのラインを超えないように働き方を調整することが一般的です。したがって、この壁が引き上げられれば、手取り額が増えることが期待されます。

しかし、今回の与党案で提案された123万円への引き上げでは、減税額が年間わずか数千円から数万円程度とされ、その効果の薄さが批判の対象となっています。

玉木代表の批判とその背景

国民民主党の玉木代表は、この「123万円」案を「しょぼい」と表現し、その背景には、実際の控除額引き上げが「113万円案」とも言える内容であることを指摘しています。つまり、実質的な控除額が10万円しか上がらないため、多くの国民にとって手取りの増加がほとんど感じられないというのです。

さらに、インフレによる生活費の増加が続く日本において、この程度の控除額引き上げでは「手取りを増やす」効果が不十分であると強調。国民民主党は「178万円」への引き上げを主張しており、この金額ならば手取りの増加が実感できるとしています。

123万円案の政治的背景

一方で、与党が「123万円」案を選んだ背景には、財政的な制約や他党との政治的妥協が影を落としていることは否めません。仮に国民民主党の主張する「178万円」案を採用すると、約8兆円の減税が必要となり、政府の財政負担は非常に大きくなります。特に、新型コロナウイルスの影響で疲弊した経済を立て直すために多額の予算が必要な中、これほどの減税は現実的でないとの見方もあります。

また、この問題は単なる税制の話にとどまらず、与党内での影響力争いや、今後の選挙戦略の一環としても捉えられます。日本維新の会との協議が進められていることも、与党が国民民主党以外の協力関係を模索している証拠です。

街の声と今後の見通し

一般の人々からは、「あれだけ騒いでいてこの金額なんだ」という失望の声や、「雀の涙程度ですね」といった辛辣な意見が聞かれます。こうした声は、政治家たちが掲げる目標と、実際に国民が受け取る利益とのギャップを如実に物語っています。

年収の壁引き上げ問題は、単なる税制上の数字の話ではなく、政治の駆け引きや国民の生活に直接影響を与える大きな問題です。今後の日本の経済政策の方向性を占う上でも、重要なテーマであることに違いありません。

[山本 菜々子]

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