スポーツ
2024年11月25日 23時17分

デ・ブライネ負傷と中盤の危機:揺れるマンチェスター・シティ

デ・ブライネの去就とシティの深刻な中盤問題:揺れ動く王者

マンチェスター・シティの今シーズンは、サッカーファンにとって予想外の展開となっている。ベルギーのゲームメーカーであるケビン・デ・ブライネがけがに悩まされ、シティとの契約延長交渉を一時中断していることは、クラブにとって痛手となっている。デ・ブライネが中盤で果たす役割は非常に大きく、その影響力が低下することで、チーム全体のバランスが崩れつつある。

デ・ブライネの存在感とその喪失

デ・ブライネは、シティの攻撃を支える重要な選手であり、彼のパスセンスとゲームメイク能力は他に類を見ない。しかし、今シーズンは負傷により欠場が続き、シティはその穴を埋めるために奮闘している。9月のブレントフォード戦での負傷以降、デ・ブライネは11月に復帰したが、完全な状態には至っていない。この背景には、彼の長期にわたるけがの影響が大きく、シティはその対応に苦慮している。

デ・ブライネ自身も「自分の状況に満足している。ただサッカーをしたいだけだ」と語るように、焦らずに復帰を目指している。しかし、クラブとの契約延長の話し合いが棚上げになっていることは、シティの将来に不安を与えている。

フォーデンの不調と中盤の世代交代問題

デ・ブライネの不在中、昨シーズンはアカデミー出身のフィル・フォーデンが彼の役割を担い、プレミアリーグ年間MVPを獲得する活躍を見せた。しかし、今シーズンはフォーデン自身も怪我で出遅れたことに加え、シティの中盤が安定せず、彼のパフォーマンスも低下している。今季はリーグ戦9試合でわずか1アシストにとどまっており、昨シーズンの輝きを取り戻すことができていない。

フォーデンの不調の原因は、単なる決定力の低下だけでなく、ポジションの流動性が影響している。彼は中央でのプレイが得意だが、チームの戦術的な事情によりサイドでの役割を担うことが多く、これが彼のパフォーマンスに影響しているとみられる。

中盤補強の失敗と連敗の影

シティが直面している問題は、デ・ブライネやギュンドアンといったベテランに長年頼ってきた中盤の世代交代が進まない点にもある。近年、シティは中盤の補強に挑んできたが、カルビン・フィリップスやマテウス・ヌネスといった選手が期待された役割を果たせず、結果的に中盤の強度不足が露呈している。

これが大きな問題となり、シティは今季公式戦で5連敗を喫するなど、苦境に立たされている。ペップ・グアルディオラ監督は、選手の怪我や不調により思うような戦術を組めず、チームの脆弱性が浮き彫りになっている。

未来への展望と課題

マンチェスター・シティが再び安定を取り戻すためには、中盤の強化が急務となる。ロドリの復帰が待たれる一方で、若手選手の台頭や新たな補強が必要とされる。ニコ・オライリーのような若手選手の成長に期待を寄せることや、冬の移籍市場での積極的な補強が求められるだろう。

デ・ブライネの契約延長がどのような形で進んでいくのかも注目される。彼が完全に回復し、再びピッチでの存在感を示すことができれば、シティの中盤は再び強力なものになるだろう。しかし、負傷のリスクを考慮すれば、クラブとしてもバックアッププランを考慮する必要がある。

マンチェスター・シティが直面する問題は深刻だが、これを乗り越えることができれば、さらに強いチームとして生まれ変わる可能性がある。ファンはクラブの対応に注目し、再び勝利の道を歩むことを期待している。

[伊藤 彩花]