日立製作所、新社長徳永俊昭が描くデジタル未来戦略
日立製作所、新たなリーダー徳永俊昭氏が描くデジタル未来
日立製作所は、創業の地に根付く精神を持ちつつ、世界のデジタル戦略を先導する企業へと変貌を遂げています。2025年4月1日、この歴史ある企業は新たなリーダーを迎えます。徳永俊昭副社長が社長に就任し、デジタル領域の強化を進めるという挑戦的なビジョンを掲げています。徳永氏は、日立市出身の人物であり、日立製作所の精神を深く理解しつつ、グローバルな視点を持ち合わせたリーダーです。
徳永氏の歩みとリーダーシップ
徳永俊昭氏のキャリアは、日立市の静かな街並みから始まりました。東京大学工学部を卒業後、1990年に日立製作所に入社。システムエンジニアとしてのスタートを切り、徐々にIT部門での地位を確立していきました。2017年には家電事業会社の社長に就任し、2019年に常務、2020年に専務、そして2021年に副社長と、着実にその存在感を高めていきました。
特筆すべきは、米GlobalLogic(GL)の買収を成功に導いた手腕です。多くの批判を受けながらも、1兆円という巨額の買収を果敢に推進し、結果として日立のデジタル戦略の中心にGLを据えました。これにより日立は、国際舞台での存在感を一層強めることができたのです。
デジタル時代における挑戦と展望
デジタル化が進む現代において、企業の競争力はデジタル戦略の巧拙に大きく依存しています。日立製作所は、これまでの製造業中心のビジネスモデルから脱却し、デジタル領域の拡大に全力を挙げています。徳永氏は「デジタルをコアとする真のワン日立を通じて、社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指す」と意気込んでいます。
このような戦略の背景には、技術の進化に伴う市場の変化があります。かつては家電や重工業といった物理的な製品が大きなシェアを占めていましたが、今やデータやサービス、ソリューションが求められる時代です。日立が買収したGLは、まさにその流れに適応するための重要なピースとして機能しています。
変化を恐れないリーダーシップ
記者会見で小島啓二社長は、徳永氏のリーダーシップを「変化を恐れず、強いパッションを持っている」と評価しました。企業が長い歴史を持つと、どうしても現状維持に甘んじるリスクが高まるものです。しかし、徳永氏はそのリスクを逆手に取り、変革を推進する力を持っています。
徳永氏は「キャッシュ重視の経営」と「資本効率の重視」を経営の柱とし、その上で得たリソースを次なる成長に投資する意向を示しています。これは、持続可能な成長を目指す現代の企業にとって、非常に重要な視点です。
新たな時代への期待
日立製作所が迎える新たな時代は、徳永氏のリーダーシップの下でどのように展開されていくのでしょうか。デジタル技術の進化は、ビジネスのあり方を根底から変える力を持っています。日立がこの変革の波をどう乗り切り、さらなる成長を遂げるのか、多くの人々が期待を寄せています。
[中村 翔平]