国際
2024年12月22日 22時20分

トルコ外相のシリア訪問、中東情勢での外交戦略とは

トルコ外相のシリア訪問――複雑な中東情勢の中での外交的駆け引き

トルコは内戦開始以来、シリアの反体制派を支援し続けてきましたが、その意図や影響力については国際社会の中でしばしば議論の的となっています。特に、トランプ氏がトルコによるシリア統治を「敵対的買収」と表現したことに対し、フィダン外相は強く反論し、「乗っ取りと呼ぶのは重大な誤りだ」と指摘しました。彼は、シリア国民が自らの意思で政権を乗っ取ったのであり、トルコが覇権を握る意図はないと強調しています。

このような発言は、トルコのシリア政策に対する国際的な批判を和らげる狙いがあると言えるでしょう。トルコが抱えるシリア難民問題は深刻であり、国内の社会的・経済的負担は計り知れません。シリア内戦が始まってから、トルコは数百万人の難民を受け入れており、この問題は国内政治の大きな課題となっています。

複雑なシリアの政治情勢とトルコの立ち位置

シリア内戦は、単なる国内紛争を超え、国際的な代理戦争の様相を呈しています。アサド政権を支持するロシアやイランと、反体制派を支援するアメリカやトルコなどの国々が、それぞれの国益を追求しながら関与してきました。このような状況の中で、トルコの外交政策は非常に難しいかじ取りを迫られています。

フィダン外相がジャウラニ氏と会談したのは、シリアにおけるトルコの影響力を再確認すると同時に、シリア内の勢力図を再編する狙いがあるのかもしれません。トルコにとって、シリアが安定することは、自国の安全保障や経済的安定に直結する重要な課題です。一方で、HTSのような過激派組織との関係は、国際的な非難を招くリスクもあります。

また、フィダン外相が「トルコの、イランの、アラブの支配ではなく、(シリア国民との)協力こそが最重要であるべきだ」と述べたことは、シリアに対するトルコの長期的なビジョンを示唆していると言えるでしょう。これは単なるレトリックにとどまらず、トルコが地域の安定を優先し、シリア国民との協力を重視する姿勢を示すものです。

今後の展望と国際社会の反応

[松本 亮太]

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