経済
2024年12月23日 08時31分

中国NEV市場の勢力図:BYDとLeap Motorの躍進

中国NEV市場の勢力図:勝者と敗者の明暗

2024年も終わりが見え始めた頃、中国新エネルギー車(NEV)市場では、各メーカーが競うように年末商戦に力を入れています。今年もまた、販売目標を達成した企業と、目標達成に苦しむ企業の明暗がくっきりと分かれる結果となりました。

一方、業界最大手の比亜迪(BYD)も好調を続けています。11月には販売台数が50万台を超え、世界のNEV単月販売記録を更新しました。BYDは独自のプラグインハイブリッド(PHEV)技術「DM」を活用し、ガソリン車市場にも積極的に攻勢をかけています。特に「秦L」「宋PLUS DM-i」「海豹 06 DM-i」などの新型車は、毎月2万台以上を売り上げ、消費者に強く支持されています。

零跑汽車(Leap Motor)も、低価格戦略を駆使して急成長を遂げています。2024年の年間販売目標は昨年の2倍近くに設定されており、特に「C16」や「C10」などの新型車が市場で好評を博しています。これにより、零跑汽車は新興NEVメーカーの中で急速に地位を高めています。

苦境に立たされるXpengとZeeker

一方で、販売目標の達成が厳しい状況に追い込まれているのが、小鵬汽車(Xpeng)や極氪(Zeeker)です。特にXpengは、年初に設定した目標が高すぎたことに加え、新型車が市場で振るわないという二重苦に見舞われています。2023年の販売台数が14万1600台だったにもかかわらず、24年には28万台の目標を掲げましたが、それが裏目に出た形です。

極氪や蔚来汽車(NIO)も同様に、ブランドの知名度や製品の位置づけに課題を抱えています。月間販売台数が1万台を超えるヒット車種がないため、目標達成は厳しい状況です。競争が激化する中で、消費者の興味を引く商品をいかにしてタイムリーに市場に投入できるかが、今後の課題となるでしょう。

市場の変化と見通し

中国のNEV市場は、年々その成長を加速させていますが、同時に競争も激化しています。EV市場への迅速なシフトと新型車の開発スピード、そして価格戦略が各メーカーの成否を左右しています。こうした中で成功している企業は、市場のニーズを的確に捉え、柔軟に対応していることが共通点として挙げられます。

今後、NEV市場がさらに拡大する中で、競争はより一層激しくなることが予想されます。特に、低価格帯での競争はますます熾烈になるでしょう。中国の消費者は、価格に敏感であると同時に、最新技術やブランドに対する期待も高まっています。これに対応するためには、メーカーは単なる価格競争にとどまらず、技術革新やブランド戦略においても差別化を図る必要があります。

ホンダと日産の統合に見る日本自動車業界の課題

一方で、日本の自動車業界は、激変する市場環境に直面しています。特に日産は、経営統合を含めたホンダとの協議に着手することで、再生の道を模索しています。かつての盟友ルノーとの関係を見直し、独立を果たしたものの、その後の成長戦略を描けずに苦境に立たされています。

日産は、EVシフトの遅れから中国市場での競争に苦しみ、さらに米国市場では得意のハイブリッド車(HV)のラインナップが不足している状況です。ホンダとの統合は、日産にとっては経営難からの脱却を図る手段であり、またホンダにとっても電動化への対応を加速させるための戦略的な選択肢となり得ます。

日本の自動車業界は、今まさに変革の真っ只中にあります。電動化や自動運転技術の進化が求められる中で、規模の経済を活かした戦略的な提携や統合が、さらなる成長を実現する鍵となるでしょう。しかし、そこには企業文化や経営方針の違いを乗り越えるための柔軟性と、迅速な意思決定が必要とされます。日本の自動車メーカーがこの大変革期をどう乗り切るのか、その動向から目が離せません。

[山本 菜々子]

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