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2024年12月23日 12時11分

吉沢亮主演『国宝』、歌舞伎と任侠が交錯する壮大な物語が映画化

吉沢亮主演の映画『国宝』、歌舞伎界に生きる男たちの壮大な物語が幕を開ける

現代の日本映画界において、歌舞伎を題材にした作品は数多くありません。しかし、吉沢亮主演の映画『国宝』は、この伝統芸能の世界を舞台に、深い人間ドラマを描き出します。原作は、数々の文学賞を受賞した吉田修一の同名小説であり、映画化にあたっては『フラガール』や『悪人』で知られる李相日監督がメガホンを取りました。

歌舞伎と任侠の二つの世界が交錯するストーリー

物語の中心にいるのは、吉沢亮演じる立花喜久雄。彼は、任侠の家に生まれながら、数奇な運命により上方歌舞伎の名門に引き取られ、歌舞伎の道を歩むことになります。歌舞伎界という華やかさの裏にある厳しい修行と、任侠の影を背負った過去。この二重の世界に生きる喜久雄の人生は、まさに劇的です。

映画は、喜久雄の50年にわたる壮大な人生を描きます。幼少期に父親を亡くし、天涯孤独となった彼が、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる姿は、多くの視聴者の共感を呼ぶことでしょう。また、喜久雄を取り巻く豪華なキャストも見逃せません。横浜流星演じる歌舞伎界の御曹司・大垣俊介、渡辺謙による歌舞伎役者・花井半二郎など、名優たちが物語を彩ります。

才能と血筋、運命に翻弄される人々

映画の予告編には、「その才能が、血筋を凌駕する―」という印象的なコピーが添えられています。これは、喜久雄と俊介の関係を象徴する言葉です。異なる血筋を持つ二人は、兄弟のように育ち、互いに切磋琢磨しながら芸を磨いていきます。しかし、運命の歯車は時に残酷な選択を迫ります。

喜久雄が、俊介ではなく自分が半二郎の代役に選ばれたことで、二人の友情とライバル関係は揺れ動きます。彼らの人生は、まるで歌舞伎の舞台の上で演じられるドラマのように、予測不可能な展開を見せます。このような人間模様は、観客に「自分ならどうするだろうか?」と問いかける力を持っているのです。

李相日監督が手掛ける美しい映像と演出

李相日監督の作品といえば、緻密な脚本と美しい映像美が特徴です。『国宝』でもその手腕は遺憾なく発揮されています。予告編からも垣間見える、歌舞伎の舞台や稽古の緊張感、そして日本の四季折々の風景が、喜久雄の人生とともに描かれます。これらの映像は、観客を物語の中に引き込み、彼の人生を共に歩むかのような体験を提供するでしょう。

歌舞伎という伝統芸能は、日本の文化の中で非常に特異な位置を占めています。その中で、どのようにして一人の人間が生き抜いていくのか。吉沢亮が演じる喜久雄を通じて、観客はその答えを探し求めることになるでしょう。

この映画は、6月6日から全国で公開されます。歌舞伎という古くからの文化と、それに挑む人々の新しい物語を、映画館で体感してみてはいかがでしょうか。フィクションでありながら、私たちの人生にも通じる普遍的なテーマを持つ『国宝』は、映画の枠を超えて、観る者の心に深く響く作品となるに違いありません。

[田中 誠]

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