経済
2024年12月25日 10時40分

淡路島の復活とパソナグループの成長戦略:万博での挑戦と地域活性化

淡路島の復活とパソナグループの成長戦略

2025年の大阪・関西万博が近づく中、パソナグループの代表である南部靖之氏は、同社の新たな成長戦略を掲げています。パソナは「いのち、ありがとう。」をコンセプトに掲げ、万博ではiPS細胞から作った「iPS心臓」などの先進的な技術を展示する予定です。これを通じて、人々に健康的な生活を促し、自然を豊かにするためのテクノロジーの進化を実感してもらう狙いがあります。

南部氏はまた、阪神淡路大震災から30年という節目の年に、関西の成長を世界に示す機会として万博に期待を寄せています。彼はこのイベントが新たな関西経済の発展のきっかけになることを願っており、パソナグループの成長もこの流れに乗じる形で進めています。

淡路島へのシフトとBPO事業の拡大

パソナグループは約4年前に本社機能を淡路島へ移転し、現在では約2000人がそこで働いています。淡路島への移転は、単なる地域活性化プロジェクトにとどまらず、リモートワークを可能にするDXの推進という側面も持っています。南部氏は、東京では得られない優秀な人材を淡路島で確保することに成功したと語り、現地採用も進められています。

この地域へのシフトは、同時にパソナの事業内容にも影響を及ぼしています。特に、企業の間接業務を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業が成長し、売上高で人材派遣事業を上回るまでになりました。南部氏によれば、BPOは今後も成長が見込まれ、同社の事業ポートフォリオの中核を担うことが期待されています。

淡路島の観光地化と地域活性化

一方で、淡路島自体も観光地としての魅力を高めています。「ゴジラ」や「ドラゴンクエスト」のテーマパーク、地元の新鮮な食材を活かした飲食店が続々とオープンし、消滅可能性都市の認定から一転して、一大観光地へと変貌を遂げています。この地域の活性化には、地元の自然や景観を活かした開発戦略が大きく貢献しています。

「フロッグスファーム」や「ニジゲンノモリ」などの施設が観光客を引き寄せ、その先には地元の伝統文化の復活や地域コミュニティの再生が進んでいます。観光地としての再生は、地域の経済活性化だけでなく、地元住民にとっても新たな生活の場を提供しているのです。

未来の眠りを提案する技術革新

パソナグループの万博展示では、ミネベアミツミの技術を用いた「コンセプトベッド」が紹介されます。これは、ひずみゲージをベッドの脚に設置し、心拍や呼吸数、身体の動きを検知することで、質の高い睡眠を促すというものです。ミネベアミツミはこの技術を通じて、睡眠関連の社会的課題の解決に貢献したいと述べています。

このような技術革新は、パソナが掲げるウェルビーイング事業の一環として、健康や幸福の実現を目指す取り組みの一つです。未来の健康管理において、テクノロジーがどのように人々の生活を向上させるか、パソナグループの挑戦は続きます。

淡路島の再生とパソナグループの成長は、地域と企業が互いに利益をもたらす好例と言えるでしょう。自然や文化、技術が結びつき、新たな可能性を切り拓くこの動きは、他の地方都市や企業にも多くの示唆を与えるに違いありません。

[佐藤 健一]

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