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2024年11月26日 07時16分

未利用魚サブスク「フィシュル!」と味ぽんのコラボで新たな食体験が!

未利用魚サブスクと「味ぽん」の融合がもたらす新たな食の可能性

食品業界に新たな風を吹き込む試みとして、未利用魚のサブスクリプションサービス「フィシュル!」が注目を集めています。このサービスを展開するベンナーズは、今年9月に「味ぽん」で知られるMizkanとコラボレーションを行い、未利用魚と「味ぽん」の相性の良さを訴求する商品を発売しました。背景には、食品ロス削減に対する社会的な関心の高まりと、消費者に新しい食の楽しみ方を提供するという両社の共通の目的があります。

Mizkanは「味ぽん」の発売60周年を迎え、普段の食事にひと手間加えることで味の幅を広げる価値を広めたいと考えています。これらの取り組みは、単なる商品開発にとどまらず、消費者の食文化をより豊かにする可能性を秘めています。

「鍋前線2024」による新しい秋の風物詩「鍋開き」

一方で、Mizkanは「鍋前線2024」を発表することで、日本の食文化に新たな季節感を提供しています。気象予報士の監修のもと、全国の気温を分析し、「鍋開き」のタイミングを予想。最低気温が15℃以下の日が3日続いたときが「鍋開き」とされています。この新しい概念は、消費者に季節感を感じさせると同時に、鍋料理の消費を促進する狙いがあります。

また、「まるで地元鍋」というアレンジレシピを通じて、地域の食材を活かした新しい鍋料理を提案しています。これにより、地域の食材への関心を高めるだけでなく、消費者が家庭で手軽に地元の味を楽しむことができるようになっています。こうした取り組みは、地域経済の活性化にも寄与する可能性があります。

リテールメディアの台頭とデジタルマーケティングの未来

また、デジタルマーケティングの新たな潮流として、「リテールメディア」の注目が高まっています。2024年10月に開催された「Retail Media Summit 2024」では、国内外の企業が集まり、リテールメディアの現状と未来について議論されました。ここでの焦点は、1st Party Dataの活用により、消費者に対するパーソナライズされたマーケティングが可能になる点です。

リテールメディアとは、リテール企業が自社のデジタルチャネルを活用して広告を展開するプラットフォームを指します。これにより、企業は消費者の購買行動に基づいたデータを活用し、より効果的なマーケティング戦略を展開することが可能になります。この新しいマーケティング手法は、従来の広告モデルを変革し、より消費者に寄り添ったアプローチを可能にするものです。

Mizkanのような企業がリテールメディアを活用することで、消費者との接点を増やし、ブランドの浸透を図ることができるでしょう。さらに、将来的にはAIや機械学習の技術を活用することで、より高度な消費者分析やマーケティング施策が可能になると考えられます。

食の未来を見据えた多角的なアプローチ

ベンナーズとMizkanのコラボレーション、鍋前線2024、そしてリテールメディアの台頭は、いずれも食品業界が直面する課題に対する新しいアプローチを示しています。これらの取り組みは、消費者の食生活をより豊かにし、持続可能な社会を実現するための重要な一歩となるでしょう。

食品ロス削減や地域活性化に寄与するこれらのプロジェクトは、企業と消費者の関係を再定義し、食の未来を見据えた新しいビジネスモデルを創出する可能性を秘めています。今後もこうした取り組みが増え、より多くの企業が持続可能な社会の実現に向けて動き出すことが期待されます。

[田中 誠]