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2024年11月26日 08時16分

ポストCookie時代のサンリオ流マーケティング戦略:GA4とデータ活用で未来を切り拓く!

ポストCookie時代のマーケティング戦略:GA4の限界とサンリオの工夫

インターネットの進化とともに、マーケティングの手法も変化を遂げています。特に、プライバシー保護を重視した3rd Party Cookieの規制が進む中、多くのマーケターが次の一手を模索しています。そんな中、イルグルムの調査が示すように、マーケターの約半数以上がGoogle Analytics 4(GA4)などの無料ツールでは対策が不十分だと感じています。その背景には、広告効果測定の精度低下やクロスデバイスでのユーザー行動把握の難しさが挙げられます。

2024年7月にはGoogleがChromeでの3rd Party Cookieの利用を継続することを発表しましたが、それが意味するのは一時的な猶予に過ぎません。多くの企業が、Googleの方針変更にかかわらず、独自の対応を模索しています。このような状況の中、マーケティング施策の効果を正しく把握するための計測環境の整備が急務となっています。

サンリオ流のGA4活用法:データと戦略の融合

株式会社サンリオは、独自の方法でこの課題に取り組んでいます。同社の永井隆氏は、GA4とExcelやLooker Studioを組み合わせることで、BigQueryを利用せずにPDCAサイクルを回す方法を提案しています。このアプローチは、GA4の基本的な設定をしっかりと行い、データを戦略に照らし合わせながら最適な施策に落とし込むことを重視しています。

永井氏は「デジタルマーケターズサミット 2024 Summer」で、サンリオ流のアクセス解析を「みんななかよく」と表現しました。これは、事業、現場、取引先が一体となってデータを活用し、改善を進める姿勢を意味します。GA4を使った基本的な設定には、計測タグの設置や追加イベントの設定、ゴールの設定などがありますが、特にゴールの設定はビジネス全体の中でサイトの役割を明確にするために重要です。

PDCAサイクルを回すための仮説設定とデータ分析

PDCAサイクルを効果的に回すためには、仮説を立てることが必要です。永井氏は、サイト全体の流れを「鳥の目」で見ることが重要だと述べています。これは、ユーザーがサイト内でどのように動いているかを広い視野で捉えることで、効果的な仮説を立てることができるという考え方です。

たとえば、「問い合わせ」がゴールのサイトでは、ファネル分析を用いてユーザーの流れを把握し、移行数が大きく減少する部分を特定します。これにより、サイトの導線に問題があるのではないかという仮説を立て、改善策を講じることができます。GA4の「ファネルデータの探索」機能を活用すれば、サイト内の流れを可視化し、仮説の精度を高めることが可能です。

ユーザー行動の把握と最適化の重要性

ユーザーとの接点に課題がある場合、流入元の分析が効果を発揮します。永井氏は、流入元を単なるコンバージョンの入口として見るのではなく、ユーザーの特徴を反映した情報として捉えることが重要だと強調しました。これは、参照元によって異なるユーザーが異なるニーズで来訪しているという視点を持つことで、より多角的な分析と仮説検証が可能になるというものです。

このようにして得られたデータから仮説を立て、それをもとに施策を検討することで、サイト全体の改善が進みます。GA4の「ユーザー獲得」レポートや「トラフィック獲得」レポートを活用して、ユーザーの最初の流入経路を把握し、どのようなニーズを持った人がサイトに来ているのかを考察することが、効果的なマーケティング戦略の鍵となります。

未来のマーケティング戦略の展望

3rd Party Cookieの規制が進む中で、マーケターたちは新しい手法を模索し続けています。サンリオのように、既存のツールを最大限に活用し、独自の戦略を構築する企業は、他の企業にとっても参考になるでしょう。データと戦略をうまく融合させることができれば、Cookie規制が進む未来においても、効果的なマーケティングを実現することが可能です。

今後のマーケティング戦略では、プライバシー保護とデータの活用を両立させることが求められます。企業は、ユーザーの行動をより深く理解し、個々のニーズに応じた施策を展開することで、顧客との関係を強化していくことができるでしょう。サンリオの事例は、その一つの指針となるかもしれません。

[松本 亮太]