経済
2024年12月27日 09時30分

スバル、北本工場でストロングハイブリッド生産開始

スバルの新たな挑戦:北本工場でのストロングハイブリッド生産

埼玉県の北本工場では、スバルのストロングハイブリッドシステムの要である「トランスアクスル」が生産されています。この工場は、かつて汎用エンジンや発電機を生産していた場所ですが、2024年10月にストロングハイブリッドの生産拠点としてリニューアルされました。スバルの新しいストロングハイブリッドシステムは、トヨタの技術を基にしつつも、スバル独自の縦置きエンジン設計に適合させるための工夫が施されています。

スバルのハイブリッドシステム:トヨタとの共通点と相違点

スバルのストロングハイブリッドシステムは、トヨタのハイブリッド技術をベースにしていますが、トヨタの横置きエンジン設計とは異なり、縦置きエンジンに対応しています。これにより、エンジン後方に発電機、ギア、駆動用モーター、そしてフロント駆動用デファレンシャルギアを配置するという、非常にユニークなレイアウトになっています。この設計は、スバルが誇るシンメトリカルAWDを維持するためのものであり、他社では類を見ない構造です。

このような複雑なシステムを可能にするためには、高度な製造技術が求められます。北本工場では、モーターの回転軸とステーターの組み付け精度を0.1mm以内に抑えるという極めて高い精度が要求されています。誤差を最小限に抑えるために、専用の組み付け工具と精密な検査工程が導入されています。これにより、スバルのストロングハイブリッドシステムは、振動が少なく快適な走行性能を実現しています。

未来を見据えた生産体制と課題

北本工場でのトランスアクスル生産量は、年間20万台規模とされていますが、今後さらに増加する可能性があります。特に、日本市場では2~3年以内にストロングハイブリッドが主流になると予想されており、アメリカ市場でも同様の動きが見られるでしょう。この生産体制の拡張は、スバルの将来的な成長を支える重要な要素となります。

一方で、完全電動車(BEV)への移行スピードが不透明であるため、ガソリン車やハイブリッド車の需要が継続する見込みです。このため、スバルはBEV専用ラインの設置を段階的に進めつつ、既存の生産ラインでの混流生産を行う戦略を取っています。このアプローチにより、スバルは市場の変化に柔軟に対応しつつ、持続可能な成長を目指しています。

スバルの取り組みは、単なる技術革新にとどまらず、働きやすい職場環境の整備や生産プロセスのデジタル化といった側面にも力を入れています。これにより、全ての従業員が能力を最大限に発揮できる環境が整えられています。

新たなカスタムカー文化の創造

一方、トヨタの「ルーミー」がランクル顔に変身する「ランドクルーミー」の登場も興味深い話題です。このカスタムカーは、ルーミーのコンパクトなボディを活かしつつ、ランクルのような力強い外観を持たせることで、新しいカスタムカー文化を創造しています。ターボエンジンやリフトアップキットの装着により、アウトドア志向の顧客に訴求することを狙っています。

この「ランドクルーミー」は、ルーミーだけでなく、OEM車であるダイハツ「トール」やスバル「ジャスティ」にもカスタムパーツが適用可能です。これにより、街中でランクル顔のジャスティやトールに出会う機会が増えるかもしれません。このようなカスタムカーの流行は、消費者が車に求める価値観が多様化していることを示しています。

スバルのストロングハイブリッドとトヨタのランドクルーミーの動向は、それぞれ異なる方向性を持ちながらも、どちらも自動車業界の未来を示唆しています。これからも、技術革新と消費者ニーズの変化に応じた新たな取り組みが続いていくことでしょう。

[佐藤 健一]

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