国際
2024年12月27日 17時51分

アゼルバイジャン航空機墜落事件でロシアの責任論が浮上

アゼルバイジャン航空機墜落事件:ロシアの責任論が強まる背景

カザフスタン西部でのアゼルバイジャン航空機の悲劇的な墜落事故が、国際的な緊張を新たな段階へと引き上げています。この事故は、38人の命を奪い、アゼルバイジャンとその友好国であるロシアの間に微妙な外交問題を引き起こしています。ロシア軍による誤射の可能性が浮上し、アゼルバイジャン国内でも「ロシア責任論」が声高に叫ばれるようになりました。

墜落原因の調査と国際的な視点

アゼルバイジャン航空のエンブラエル190型機が墜落したのは、ロシア南部チェチェン共和国上空を飛行中のことでした。航空専門家は、ロシアの防空システムがこの事故の原因である可能性を示唆しています。元米空軍調査官によると、機体の尾翼部分には無数の穴が見つかり、これはロシアの防空システムによる攻撃の痕跡であるとされています。また、ロシアの防空対策が旅客機の航法や通信システムを妨害し、墜落を招いた可能性も考えられています。

こうした状況の中で、アゼルバイジャンのムサベコフ議員は、「ロシアは謝罪すべきだ」と強く訴えました。彼は、実行者が刑事責任を問われるべきだとし、被害者補償も不可欠であると主張しています。さらに、もしこれらの責任が果たされなければ、ロシアとの関係悪化を示唆しました。

メディアと政府の対応

アゼルバイジャン政府は、ロシアの関与を示唆する報道を厳しく統制しています。しかし、BBC放送のロシア語版によると、アゼルバイジャン国内の複数のテレビ局では、ロシアが旅客機を攻撃したとする専門家のインタビューが放映されました。これは、アゼルバイジャンの国民感情がロシアに対して不信感を抱いていることを示すものです。

墜落事故の一報を受けたアゼルバイジャンのアリエフ大統領は、ロシアで予定されていた独立国家共同体(CIS)の非公式首脳会議への参加を取りやめ、直ちに帰国しました。当初は「原因を語るのは時期尚早だ」と述べていた彼も、対ロ関係を考慮しながら慎重に対応を検討しているとみられます。

背景にある地域の緊張

この事件は、地域の緊張が高まる中で発生しました。ウクライナのドローンが以前にもグロズヌイや北コーカサスの地域を攻撃しており、25日にもドローンによる攻撃があったとされています。こうした背景が、ロシアの防空システムが誤って旅客機を攻撃する事態を引き起こした可能性を示しています。

一方で、ロシアの民間航空局は、予備情報としてバードストライクによる機内緊急事態が発生したためパイロットが迂回したと説明しています。しかし、これに対する疑念は依然として残っており、国際社会からの圧力が高まる中で、真相解明が求められています。

[鈴木 美咲]

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