経済
2024年12月29日 06時40分

大分でホーバークラフト復活!地域交通の革新なるか?

ホーバークラフト、再び息を吹き返す?大分での復活劇とその背景

大分県の別府湾で見事な疾走を見せるホーバークラフトが、16年ぶりに定期航路として復活しようとしている。これは単なる懐古趣味の復活ではなく、地域の交通インフラを革新する試みだ。しかし、背景には複雑な事情と挑戦が潜んでいる。

ホーバークラフトは、船でも飛行機でもない独特の乗り物だ。海面をエアクッションで浮かび、時速80kmで滑走するその姿は、まるで未来の乗り物のようだ。大分県はこのホーバークラフトを、遠く離れた大分空港へのアクセス改善策として導入しようとしている。空港へのアクセスが悪いため、県内外からの観光客の流入を妨げている現状を打破するためだ。

大分空港のジレンマとホーバークラフトの役割

大分空港は、大分市から60km以上も離れた場所に位置し、交通の便が悪い。連絡バスは時間がかかり、渋滞による遅延も頻繁に発生する。これが観光資源を活用しきれない大きな要因の一つであり、ホーバークラフトはそのソリューションとして期待されている。

ホーバークラフトは、空港への最短ルートを海上から提供できる。大分市と空港の直線距離は約30km。これを利用すれば、バスの1時間以上かかる所要時間を約30分に短縮できるという。しかも、大分空港は海上の埋立地にあるため、専用の走行路を使ってターミナルビル近くまで乗客を運ぶことができるのだ。

復活への道のりと立ちはだかる課題

とはいえ、ホーバークラフトが過去に姿を消したのには理由がある。運航コストが高く、騒音や乗り心地の悪さが利用者の不満を招いていたのだ。それに加え、強風に弱いという特性が欠航を招き、運航の安定性に欠けていた。

今回の大分での再挑戦も、すでに気象条件による欠航が相次ぎ、計画通りの運航実績を積むことができなかった。11月の周遊運航では想定の半数の16便しか運航できず、年内の定期航路の就航は見送られることとなった。加えて、訓練中の事故や安全性への懸念も浮上し、国への報告が遅れたとして船員法違反容疑で書類送検される事態まで発展している。

しかしながら、ホーバークラフトの運航会社「大分第一ホーバードライブ」は、この状況を逆手に取り、利用者の声を反映してより安全で効果的な運航を目指す方針だ。小田典史社長は記者会見で、書類送検の件とは無関係に、乗客の利用意欲が高いことを強調し、「万全な準備ができ次第、定期航路を就航させたい」と意気込みを見せた。

ホーバークラフトの未来と地域社会への影響

ホーバークラフトの復活は、単なる交通手段の再導入以上の意味を持つ。地域経済の活性化、観光客の増加、住民の利便性向上といった、社会的な波及効果が期待される。特に大分県のように地理的な制約を抱える地域にとっては、新たな可能性を切り開くきっかけとなるだろう。

未来の旅客船として再びホーバークラフトが脚光を浴びる日が来るのか。大分での試みがその第一歩となるかもしれない。地域のニーズに応え、新たな価値を生み出すことができれば、ホーバークラフトは再び海を渡り、多くの人々の移動を支える存在となるだろう。

[田中 誠]

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