経済
2024年12月29日 23時11分

中国経済の新局面:個人消費と新興国投資の行方

中国経済の新たな局面:個人消費主体への移行

中国経済は長らく不動産開発に頼ってきたが、そのモデルは限界に達している。政府は個人消費主体の経済へと転換を試み、多くの企業がこの変革をチャンスと捉えている。例えば、スポーツ用品で人気の李寧(リーニン)は、健康志向の高まりを背景に成長が期待されている。更に、同社の株価は以前のPER20倍台から11倍台と割安感が漂っており、投資の好機とみられている。

しかし、中国経済全体は構造改革の過程にあり、成長率の低下という課題も抱えている。政府の政策転換がうまく運ぶか否かは、今後の市場動向に大きく影響するだろう。

ブラジルの魅力とリスク:大国の可能性

一方、ブラジルはその人口と資源の豊かさから長期的な成長が期待できる国の一つだ。経済も企業業績も良好だが、高金利政策による株安という副作用が見受けられる。しかし、インフレがピークを過ぎたことで、今後は金利低下による株価上昇が期待できるとリー氏は語る。

インドの成長と投資の課題

インドもまた、人口の増加による経済成長が期待されるが、現状の株価には割高感があるとリー氏は指摘する。インド市場は長期的な視点から見れば有望であるが、今は優先度を下げているという。

新興国株への分散投資のメリット

日本においては、S&P500や全世界株型の投資信託が人気を集めている。しかし、これらに偏ることで、米国の大手ハイテク株や大型グローバル銘柄に依存するリスクが高まる。新興国の中小型株は、マクロ経済の波の影響を受けにくく、資産の一部を分散する投資先として有効だとリー氏は強調する。

全世界株型の投資信託では、新興国でも巨大国営企業や大手IT企業への投資となり、分散効果は限定的だ。新興国の中小型企業に直接投資することで、リスクを抑えつつ成長の恩恵を享受できる可能性がある。

投資の新しい視点:インデックスファンドとアクティブ投資

インデックスファンドの強みは、低コストで幅広い市場の動きを追跡できることだ。バンガード500インデックスファンドの創設者であるジャック・ボーグルが、「市場全体の平均リターンを上回ることは難しい」と指摘したように、インデックスファンドは長期的に見て安定した成果をもたらす。しかし、アクティブ投資信託には、その時々の市場の変化に応じた柔軟な運用が可能というメリットもある。

新興国株のアクティブ投資信託は、特に中小型株をターゲットにすることで、成長の可能性を探ることができる。個人投資家にとっては、インデックスファンドの安定性とアクティブ投資の成長性を組み合わせた投資戦略が求められる時代が来ているのかもしれない。

市場は常に変動し続けるが、投資家はその中で最適な選択を模索し続ける。新興国の成長の波に乗るか、それとも安定を求めてインデックスファンドに資金を投じるか。個々の投資家が自身のリスク許容度に応じた戦略を立てることが、今後の資産形成において重要な鍵となるだろう。

[松本 亮太]

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