国際
2024年12月30日 09時40分

ジョージア新大統領カベラシビリ氏就任、サッカー選手から政治家への転身

ジョージア新大統領就任:サッカー選手から政治家へ、カベラシビリ氏の挑戦

旧ソ連構成国ジョージアで、親ロシア派とされる与党「ジョージアの夢」が擁立したカベラシビリ氏が新たな大統領に就任しました。この出来事はジョージアの政治だけでなく、地域全体に波紋を広げています。首都トビリシでは29日、カベラシビリ氏の就任式が行われましたが、その背景には複雑な政治的動機と、国民の深い分断があります。

カベラシビリ氏はかつてサッカー選手として活躍し、その後政治の道を歩み始めました。彼の政治的キャリアは、2016年に議員としての活動を開始したことに始まり、現在では親ロシア派の象徴的存在となっています。しかし、カベラシビリ氏の台頭は多くの市民にとって歓迎されるものではありませんでした。

選挙の正当性をめぐる対立

今回の大統領選は、国民投票を経ない間接選挙で行われました。これが多くの市民や野党の反発を招いています。ズラビシビリ前大統領をはじめとする親欧米派は、選挙に不正があったと主張し、その正当性を否定しています。このため、トビリシの街頭では「レッドカード」を掲げるデモ隊が出現し、カベラシビリ氏の就任に対する強い抗議の声が上がりました。

この抗議は、単なる選挙結果への不満にとどまりません。ジョージアは昨年末、EUの加盟候補国としてのステータスを獲得しましたが、与党の方針転換によってEU加盟交渉が停止され、国の進むべき方向性をめぐる対立が激化しています。このような状況下でのカベラシビリ氏の就任は、さらなる政治的混乱を招く可能性があります。

親ロシア路線の背景と影響

カベラシビリ氏を擁立した与党「ジョージアの夢」は、親ロシア色を強めており、これはジョージアの外交政策に大きな影響を与えると予測されています。ロシアとの関係を重視することで、ジョージアは西側諸国からの距離を置きつつあります。特に、ウクライナ危機以降、ロシアの影響力が増す中で、ジョージアがどのような立場を取るかは、地域の安定にとって重要な意味を持ちます。

イワニシビリ元首相は、ジョージアの事実上の指導者と見なされ、彼の親ロシア政策は国民の一部からの支持を得ています。これは、歴史的にロシアとの関係が複雑であるジョージアにとって、独自の生存戦略とも言えるでしょう。一方で、アメリカやヨーロッパ諸国との関係が揺らぐリスクも伴います。バイデン政権による制裁は、その一端を示しています。

カベラシビリ氏の今後の課題

ジョージアの未来は、カベラシビリ氏の手腕にかかっていると言っても過言ではありません。彼のリーダーシップがどのように展開されるか、そしてジョージアがどのように進化していくのか。これらの問いに対する答えは、まだ霧の中にあります。しかし、ジョージアの人々が望む変革が訪れるためには、今がその分岐点であることは間違いありません。

[高橋 悠真]

タグ
#カベラシビリ
#ジョージア
#政治