ラルフ・ローレンの名車コレクションを捉える:秦淳司の写真術とENGINE ERA
名車の美を捉える:ラルフ・ローレン氏の愛車コレクションと秦淳司の写真術
車を愛する人々にとって、ラルフ・ローレン氏の名は単なるファッションデザイナーとしてだけでなく、世界有数のカーコレクターとしても知られています。そのコレクションは、まるで動く美術館と言っても過言ではありません。ラルフ・ローレン氏が所有する車の総額は驚異の385億円以上に達し、その中には世界に2台しか存在しない1938年式ブガッティ57SCアトランティックのような希少車も含まれています。この名車たちの本質を写真に納めたフォトグラファー、秦淳司氏が見た「車の美しさ」とは何かに迫ります。
夢のガレージ:ラルフ・ローレン氏の秘蔵車たち
秦淳司氏がラルフ・ローレン氏のコレクションを撮影する機会を得たのは、雑誌『ENGINE』での仕事を通じてでした。ニューヨーク郊外にあるラルフ・ローレン氏のガレージには、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、ジャガー、アルファロメオなど、歴史的な名車が20台以上も並んでおり、その壮観な光景はまさに「夢のガレージ」と呼ぶにふさわしいものでした。
秦氏はその時の撮影を振り返り、「ガレージに入った瞬間、目の前に広がる車たちに圧倒されました。どの車も厳重なセキュリティの中、完璧なメンテナンスが施されており、まるでいつでも走り出せるかのようでした」と語ります。その美しさを捉えることは、車を愛するフォトグラファーにとって最高の挑戦であり、また喜びでもあります。
車は文化そのもの:写真集『ENGINE ERA』の意義
秦氏の写真集『ENGINE ERA』は、彼が15年以上にわたって撮影してきた車たちの集大成であり、名車たちの「肉体美」を堪能できる一冊です。秦氏は「車はその時代の美意識を強く反映しており、文化そのものだ」と語っています。車が生き物のように見えるのは、エンジンという「心臓」を持つがゆえ。そのボディラインやディテールの美しさは、まさに芸術作品そのものです。
この写真集は、単なる車の写真集ではなく、歴史的にも価値あるカーポートレート集です。336ページにわたるボリュームは圧巻で、読者に深い懐古と憧憬を刺激します。また、掲載車の中にはラルフ・ローレン氏のコレクションからセレクトされた車も含まれており、クルマ好きにはたまらない内容となっています。
動く芸術としての車:未来への展望
自動車は18世紀にフランスで発明されて以来、多くの進化を遂げてきました。動力源が蒸気からガソリンへ、そして現在では電気自動車へとシフトしています。しかし、車が持つ芸術的な魅力は時代を超えて普遍的なものです。秦氏は「車が持つフォルムや質感は人々を魅了し続ける」とし、その魅力の根源は「その時代の美意識が強く反映されているからだ」と語ります。
クルマの歴史がこれからどのように展開していくのかは未知数ですが、秦氏のようなフォトグラファーによってその美しさが記録され続ける限り、クルマは人々を魅了し続けることでしょう。今回の写真集『ENGINE ERA』はその証の一つであり、クルマ愛好家たちの心を掴んで離さない一冊となることは間違いありません。
2025年には、秦氏の写真集とオリジナルプリントがKitasando garage / Flip Flip Coffee Supplyで展示販売されます。クルマ好きには見逃せないイベントで、実際に名車のオリジナルプリントを手に取るチャンスもあります。この機会に、名車たちの美しさを改めて感じてみてはいかがでしょうか。
[中村 翔平]