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2024年12月30日 11時20分

2024年の宇宙活動総括:SpaceXと中国が牽引

2024年の宇宙活動を振り返る:新たな躍進と課題

2024年も終わりを迎え、宇宙活動の分野での出来事を振り返る時期がやってきました。この年は、宇宙探査と輸送の面で多くの国と企業がしのぎを削る激動の一年でした。全体として、衛星打ち上げの数は前年を上回り、各国が競って通信衛星網の拡充を進めています。まるで宇宙が新たなフロンティアとして、再び熱を帯びているかのようです。

米国のリーダーシップ:SpaceXの躍進とBoeingの苦境

一方、Boeingは困難に直面しています。NASAから委託されたStarlinerの開発は遅れに遅れ、技術的な問題が山積しています。2024年には有人試験飛行を予定していましたが、エンジンのヘリウム漏れや姿勢制御の不具合により、ミッションは延期されました。Boeingにとって、宇宙飛行士の地上帰還を果たせなかったことは大きな痛手であり、同社の宇宙開発への取り組みの信頼性に影響を与えかねません。

中国の急成長と新たな商用発射場

中国もまた、宇宙活動を加速しています。打ち上げ数では米国に次ぐ2位を維持し、海南省に新設された商用ロケット発射場がその基盤を支えています。この発射場は、中国の宇宙産業の商業化を進めるうえで大きな役割を果たしています。5月には「嫦娥6号」が月の裏側からサンプルを採取するという歴史的なミッションを成功させ、月探査の分野でも存在感を強めています。

欧州とロシアの挑戦

ヨーロッパでは、Ariane 6の初飛行がハイライトとなりました。これにより、大型基幹ロケットの空白期間を終え、再び打ち上げサービスを提供できるようになりました。しかし、Vegaシリーズの再開やAvioとの分離交渉など、内部での調整が続いています。

ロシアは、国際的な制約とともに宇宙活動の独自性を追求しています。ウクライナ侵攻以降、欧米からの孤立が続く中、独自の宇宙ステーション「ROSS」の設計を進めています。これにより、ロシアは独自の宇宙インフラを構築しようとしています。また、55機の衛星を一度に打ち上げるという記録も達成し、打ち上げ技術の高さを示しました。

衛星メガコンステレーションの競争

SpaceXのStarlinkは、衛星インターネットの分野で他を圧倒しています。競合としては、中国や欧州もそれぞれの衛星コンステレーションを構築し始めていますが、SpaceXのリードを追い越すのは容易ではありません。この競争は、地上のインターネットアクセスを宇宙から提供するという壮大なビジョンを現実にするためのものです。

2024年は、宇宙活動の新たな章を開いた年となりました。各国と企業が競い合う中で、技術革新が進むとともに、それぞれの課題が浮き彫りになっています。来年の宇宙活動がどのように展開されるのか、期待が高まるばかりです。

[松本 亮太]

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