大坂なおみ、復活の白星スタートと未来への期待
大坂なおみ、新シーズンの白星発進と未来への抱負
復活の狼煙とその舞台裏
大坂なおみがツアーを離れたのは2022年末のこと。翌年には娘を出産し、家庭とプロテニス選手としての二足の草鞋を履くこととなりました。2024年にはツアーに復帰し、世界ランキングなしから58位まで大きくランクを上げてきました。これは彼女の復活を示すだけでなく、テニス界における大坂の存在感を再確認するシーズンでもありました。
初戦の相手となったグルシュコ戦では、大坂のサービスゲームが光りました。強烈なサーブで相手を圧倒し、試合を通じてブレークチャンスを何度も得るなど、攻めの姿勢を貫きました。試合中、グルシュコが腰と腹部付近の違和感からメディカルタイムアウトを取る場面もありましたが、大坂は集中力を失わず、フォアハンドウィナーでセットを先取。試合を通して終始主導権を握るプレーは、彼女の復調を示すものでした。
「一定の順位を超えなければ」—大坂の決意とその背景
しかし、試合後の会見では大坂自身から驚くべき発言が飛び出しました。「一定の順位を超えなければプレーできない」と語り、成績次第ではツアーからの撤退も示唆したのです。彼女がこの発言に至った背景には、2024年の激動のシーズンが影響しているのでしょう。
昨年、彼女は名将ウィム・フィセッテと袂を分かち、パトリック・ムラトグルー氏をチームに加えるなど新体制を構築しました。しかし、順調だったシーズンも中国オープンでの腰の怪我により終了を余儀なくされました。大坂にとっては、復活の足掛かりを築き上げつつも、怪我やチームの再編という不安定要素がつきまとった年だったのです。
「娘と一緒に過ごしたい」という発言からも、家庭とプロキャリアの両立に対する彼女の思いが伝わってきます。プロテニス選手としての成功と、母親としての時間。どちらも重要であり、どちらも大切にしたいという葛藤が、彼女の中で大きなテーマとなっているようです。
未来への期待とテニス界の大坂なおみ
2025年シーズンの幕開けに際して、大坂は「これまで以上に一生懸命やれた」と前年を振り返ります。彼女はテニスを通しての成長と学びを得たと語り、新しいシーズンに期待を寄せています。とはいえ、復活を遂げつつある彼女の心中には、依然として不安やプレッシャーが存在していることも事実です。
新シーズンのスタートを白星で飾った彼女が、その後の試合でどのような姿を見せるのか。テニス界において、彼女が再び頂点を目指す姿を見守ることは、ファンにとっても大きな楽しみとなるでしょう。大坂なおみがどのような未来を選択するかは、これからの試合結果と彼女自身の心の動き次第と言えるかもしれません。
彼女の選択がどのようなものであれ、その背景には常に愛する家族とテニスへの情熱があることは間違いありません。新たなシーズンの始まりとともに、大坂なおみの次の一歩に期待が集まります。
[田中 誠]